第13回 学校別対策の意味

慶應進学館を始めてから、多くのみなさんにお問い合わせをいただきました。そしていろいろな塾の対応を伺ってみると、やはり学校別の対策の難しさを感じます。実際に、多くの塾ではいろいろな志望校を持つ子どもたちが集まっているので、学校を絞っての学校別特訓は難しい。したがってある校舎に、その学校をめざす子どもたちを集めるという工夫になるのですが、すべての学校の学校別特訓があるわけでもないし、また週日は結局はいろいろな志望校の子が集まるので、学校別の勉強ができるわけもない。
だから、本当はもっと志望校の出題傾向に合ったことをしたいのだけれどなかなかうまくいかないというお話が多かったように思います。

ただ、学校別対策というのは授業だけの問題ではないと私は思うのです。先日、ある保護者の方から、「いろいろ塾から話を聞いていると、学校別対策を自宅でやるなど困難という錯覚に陥る」という話を聞きましたが、むしろ自宅でやるから
こそ個に対応する勉強ができるのではないでしょうか。集団という塾の中にいれば、個の対応はやはり難しい。しかし自宅で勉強していればそれを生かしていく方法があるはずです。ところが案外それをやっていない方が多い。なぜかというと、そんな時間はないからです。週日、塾に通う回数が3回、4回となれば当然そうでしょう。授業に行けば、宿題もでる、復習もある。だから家で何か他の勉強をする余裕はない。だから家庭教師を頼んだり個別指導に行かれる方も多いのではないでしょうか。

ところがいざ過去問をどのくらいやっているのか、伺ってみると案外充分でないケースが多いのです。まず家で簡単にできるのが過去問ではないでしょうか。さらに、記述が出るのであれば記述、生物が出るのであれば生物、というように、他の学校の問題の中から似た問題をやれば、それは充分学校別の対策になるはずです。

また、知識が覚えられていないが、知識が良く出ているとなれば、とにかく覚えることが大事で、これもまた大事な「学校別対策」なのです。問題は、本人が「やらなければいけない」ことが後回しになって、あまり必要もない勉強をしているケース。案外多いものです。なぜ多いのか。他の勉強が入り込んでいるから。それは本当に必要な勉強なのか、一考してみる必要はあるのです。

子どもたちは塾の先生に言われれば「やらなければいけないこと」ととらえがちです。しかし、塾は学校とは違って、合目的的なものなのです。先生のいうことを全部聞いていたけれど、入らなかったでは意味がない。むしろ、具体的に何をどうすればいいのか、具体的な指示を先生に求めるべきでしょう。

お子さんが学習している内容を良く知ることは、受験対策を効率化する上でとても大事なことです。残り100日を切りました。ですから本人に必要なことだけを確実にやるようにしてください。

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