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中学受験、これで合格する母と子の合格手帳+デジタル利用編」8月号第2週掲載号から

これから2004年に講談社から刊行した「これで成功する母と子の合格手帳」の記事に、さらにデジタル利用編を加えた新たな連載を開始したいと思います。時節柄、夏休みの話からスタートして2週間に1回の割合で進めていきます。お役に立てば幸いです。


  夏休みもあと2週間ですね。そろそろ過去問中心の学習に変わってきた時期ではないかと思います。8月末には、まとめの試験があると思いますが、この試験と7月中旬に受けた実力テストの比較を楽しみにしていらっしゃるお母さんも多いかと思います。しかし、あまり変わらないというのが多くの生徒の実情ではないかと思います。もしかすると、悪くなっているかもしれません。

 なぜでしょうか。

 夏休みはかなり復習に時間を割きました。知識も覚えました。しかし、定着したかといえば、そうではありません。まだ実践練習をつんでいないので、試験で今まで培った力を発揮できるかというと、そうではないのです。

 よくお話をするのですが、解ける、あるいは知っているという力と点をとるという力は若干違います。解ける力があっても、点に結びつかないケースはたくさんあるのです。そういう意味で、知識も増えた分、混乱しているところはたくさんあります。したがって、かえって点数が悪くなる場合もあるでしょう。

 だからこそ、私が夏休みは天王山にはならないと申し上げたのです。もちろん夏休みの勉強が、役に立たないわけではありません。もちろん、夏休みにがんばったからこそ、混乱もするのだろうし、間違いやすくもなるのです。

 ですから、秋の学習は、得点力をつけるのが目標になります。

 その要点は、過去問、知識の暗記、復習の3つとなります。過去問は、先にお話しました志望校を10年分、3回やりこなす勉強となります。夏休みで算数と国語が1回終わってきたところだと思いますが、秋には2回目の算国(これは時間を計ってください。)と、理科社会は1回目です。理科社会はなかなかまだ点数がとれないと思いますが、できなかった問題の知識はしっかり覚えるようにしてください。私は、ひとつのやり方として、一問一答ノートを作ることをお勧めします。

 ノートの右端から5cmのところでたての線を一本引きます。そして、その左側にできなかった問題を書き、線の右側に答えを書くのです。
たとえば、鎌倉幕府の裁判所といえば? 問注所 という具合です。
まったくアトランダムに書き進んでいきます。そして、そのノートを使ってできなかった問題の暗記をすすめるのです。

 書き終わって何ページか集まったら、お母さんが問題を読んであげてください。子どもが答えて、あってたら、ピンポン。間違っていたら、答えを教えてあげてください。くれぐれも「まだ覚えてないの?」なんて皮肉っぽく言ってはいけません。

 それ以外に暗記は夏休みに使った理科、社会、漢字のテキストを繰り返します。いろいろなテキストがありますが、何種類も使うよりは、1冊のテキストを集中して覚え、そのテキストに書いてあるものはすべて覚えたという自身を培うことが大事です。

 何回も繰り返すことが大事です。覚えたと思っても、また忘れます。私がよく、受験の知識は秋にやったほうが得だとお話するのは、早く覚えても、また忘れてしまうからです。
といっても、模擬試験が始まりますから、ぎりぎりからはじめては間に合いません。頃合がむずかしいですが、ただ秋が中心であることは間違いありません。

 知識の暗記について言えば、合格手帳を使って、また記録を作っていくのもおもしろいでしょう。(これは、あくまで楽しむ気持ちで作ってください。)

 暗記のテキストはたいてい、テスト形式になっています。テストのテーマを縦軸にとり、横軸に日付をいれて、そして点数をいれていくのです。江戸幕府(1)は1回目は30点満点中、12点だったのが2回目は18点、3回目は24点。と記録を作っていきます。この手帳を持っていれば、お母さんは点数の変遷を知ることができますから、右肩上がりになっていることがわかるはずです。

 右肩上がりになれば、子どもをほめてあげてください。これから入試まではすべてが右肩上がりになっていること望ましく、それが多少レベルが低くても右肩下がりになるよりは良いのです。なぜならば、右肩上がりであれば、スタートが低くても、合格点を超える可能性が強くなります。ところが、右肩下がりだったり、あがったり、さがったりだと勢いがつきません。残念ながら、算数や国語は問題によって上がり下がりがどうしてもでますから、知識範囲はなるべく右肩上がりになるように、導いてあげてください。

 合格点は8割、あるいは9割までいきましょう。でも、必ず忘れますから、また繰りかえさなければなりません。

 手元に合格手帳があって、その記録をつけていると、いくつか気がつくことがでてきます。
たとえば、人体は得意だが、天体は苦手とか、地理はできないが、歴史は得意とか。
地理ができなければ、地理を好きにする工夫が必要です。そのためには、地図をみたり、教育ビデオをみたりすることもよいきっかけになるでしょう。漫画も効果的です。

 最後は復習ですが、これは塾の復習です。すでに塾の勉強は実践的な範囲に入っています。すなわち答案練習が多くなっています。時間を決めて、プリントをやり、その解説を聞いてくるという形式の授業がふえてくるはずです。そのとき、点数ばかりに目がいってしまってはいけません。できなかった問題をできるようにしなければならないのです。できなかった問題は算数を中心にやり直してください。

 例によってカードにしてもいいし、A4の台紙に貼り付けてもかまいません。ただ、1学期にくらべると明らかに問題数が増えてきます。プリントの数をこなすという形式の授業になると、復習が間に合わなくなる可能性があります。ですから、これもまた優先順位をつけていかなければなりません。

 そこでまた合格手帳を使ってスケジュールを組むわけですが、意外にコマを作れないことに気がつかれると思います。そう、6年生の秋は、学校の行事が多いのです。運動会、文化祭、音楽発表会、連合運動会、こういうときに限って、選手に選ばれたり、応援団長を引き受けてきたり。

 受験勉強のためには、学習時間を確保したいところではありますが、子どもには子どもの社会がありますから、「引き受けちゃだめよ!」といっても後の祭りになるケースが少なくありません。

 だからこそ、スケジュールをしっかり作って効率よい勉強をするしかないのです。やらなければいけない勉強を書き出してみましょう。「えー、こんなにやることがあるの!」お母さんの悲鳴が聞こえてきそうです。受験勉強ですから、これでよいということはなく、やろうと思えばいくらでもあがってきます。そう、上をみてもきりがないのです。ですから、できることに絞ることが重要です。では何を基準に絞ればよいのでしょうか。

 受験勉強は合格するためにやるのですから、試験にでそうなことを本人ができるようにするという観点で選んでください。

 記述がでる学校であれば、細かい文学史はいりません。ばっさり切り捨ててしまいましょう。そのためには当然、志望校が決まっていて、その傾向を知っておかなければなりません。以前作った合格手帳の学校情報のリフィールを開きましょう。そこには、入試の特徴が書かれているはずです。それを見ながら、やらなければいけないことの優先順位を決めます。(第7回参照)

 1週間のコマは12コマとれればよいという状況になっているかもしれません。勉強時間を増やすなら、あとは朝しかありません。決して夜遅くにコマを作ってはいけません。6年生になれば、体の大きい子は少なくありませんし、夜遅くまでおきていることも可能です。しかし、これは疲労興奮という状態になっているだけで、実際に効果があるわけではありません。それよりは朝早く起きて勉強する方が生体的には理にかなっています。もちろん連合運動会で朝の練習があるかもしれませんが、うまくコマを作ってあげてください。

デジタル手帳追加編

 夏以降、知識の暗記をしていかなければいけません。

 確かに知識は忘れてしまうので、あまり早くやりすぎてもいけないが、しかし定着にも時間がかかる。だから1冊のテキストを決めて、何回か繰り返していく作業が必要になります。

しかし、同じことを繰りかえす、というのは結構、面倒だし、なかなかモチベーションが続かない。それぞれの章に合わせて、1回目はどのくらい、2回目はどのくらい、という記録を作っていくのです。

 スプレッドシートで作れば、グラフにすることもできますし、また逆に大きく書いてリビングに張り出す、という手もあるでしょう。

 そうすると、家族がみんな、情報を共有することができるし、プレッシャーも多少かけることができる。(もちろん、それが効きすぎてもいけませんが。)

 こういうのはほめる材料に使うといいのです。例えばお父さんが、忙しくてなかなか子どもの面倒が見られなくとも、

「お、すごいじゃないか。ここは満点だね。」

 といえば、子どもはうれしいし、がんばる。こういうのを作って、

「だめじゃない。下がってるわよ。」

 ばかり言われると、子どもは楽しくない。

 だから、こういうのは遊びながらやると良いのです。例えば5回連続合格したら、漫画1冊買ってもらえるとか。

 そういう楽しみを考えながら、確実に繰り返す。1回やったら大丈夫ということはありません。やった傍から忘れる、というのが普通です。でも、最後に

「ここに書いてあることは全部覚えた!」

 という自信は子どもたちにとっては、試験当日大きな力になるでしょう。