第81回 滑り止めの役割

    9月に併願校の選び方についてお話をしました。
    で、親の役割として滑り止めをどうするか?ということを考えなければなりません。受験するのは小学生。中学生や高校生に比べて精神的に左右されやすい学年です。上手に試験日程を組んでいけば、
    「この子にこんな力があったのか?」
    と思うほど、勢いにのる場合もありますし、逆に失敗が続くと、できる子でも自信を失います。
    滑り止めは言葉の意味とは別に、「勢いをつける」という重要な役割があります。だからなるべく早めに合格をとる、ということは大事なことです。しかし、お試し受験はなかなか説得力がない。
    関東でいえば埼玉、千葉は1月に入試が解禁されます。だから埼玉、千葉が通いやすい地域であれば、ここで合格をとることは非常に意味がある。つまり「合格」が現実味を帯びる。
    「行く学校ができた」

    ということは、子どもにとって精神的に非常に大きいのです。

    以前に、こんなご家庭がありました。千葉におばあさんがおひとりで住んでいらっしゃる。そろそろ、と思っていたこともあり、
    「あなたが千葉の学校に受かったら思い切って引っ越してしまいましょう。だから千葉でもいいのよ。」
    という話になった。戦略ではありません。まあ、本気でそう思われていたのでしょう。結果としては、これは非常に子どもの気持ちを楽にした。
    1月に1校が決まってしまうと、2月には滑り止めは受けません。難しいところばかり、3校。全部合格しました。もちろん力はありましたが、だが1月に1校落としているのです。やはり精神的な部分は大きい。
    孟母三遷ということばはありますが、これを機に引っ越すか、ぐらいのことは、子どもの応援にはなるでしょう。
    塾の指導でいえば、2月1日、2月2日、2月3日と志望順位が上がっていくのが一番の理想系。
    まず1日に確実にとる。2日、3日とあげていく。最初に合格が取れていれば、気持ちはかなり楽になるから、力がでやすい。
    しかし、日程的には2月1日が第一志望になることが多い。だから早めに2日をおさえる。1月で何とか考える、ということになるのでしょう。
    ただし、滑り止めに行くかどうか、は別の問題です。
    私は先日の「高校受験も悪くない」でお話した通り、どうするかは合格してからもう一度考えてみればいいと思います。6年滑り止めの学校に行くか、それとも3年後の高校受験を考えるのか。これは、むしろ結果が出たあと再考することがのぞましい。
    もちろん最初から、滑り止めなしで望むというのも家庭の考え方が決まっているのであれば、いいでしょう。
    「この2校しか、行きたくないから、他は受けない」
    と子どもが堂々と言い切れれば、何も問題はありません。別に浪人するわけではないのだから。
    そういいきれない、あるいは「公立に行きたくない」「行かせたくない」からプレッシャーがかかる部分もあるので、そのあたりの気持ちの整理は、子も親もしっかりつけておく必要があるでしょう。そして、滑り止めを受けるのなら、「合格を確実にとれる学校」を選ぶべきです。ここは落ちてはいけない。
    そこを見極めることが大人の役割でしょう。ところが、ここでどうしても学校の名を気にしてしまう。偏差値を考えてしまう。中途半端に選ぶくらいなら、滑り止めはやめてしまうことです。勢いをつけてあげたいなら、しっかり合格する学校を選ぶ。親がしっかり腹をくくるというか、何を優先するのかしっかり考えたあげてほしいと思います。
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