第88回 ノルマを果たしても実力はつかない

    1週間のノルマを決める塾があります。
    算数の課題はこれこれ、国語の課題はこれこれ。
    1週間にこれだけの問題数をこなす。ということが課題になって、それを計画して実行する。
    確かに説得力はありそうですが、実はこれ、中身がともなわない場合が少なくないのです。
    つまり宿題にしてしまうと、「とにかくノルマを果たす」ことが優先されてしまう。そうするとこんな勉強の仕方が始まってしまいます。
    問題と、解答を横に並べる。
    まず問題を解いてみる。すぐにはわからない。そこで解答を見る。なるほど。というので、答えを写す。
    ズルではないのです。このくらいのことをしないと、ノルマが終わらないから、そうする、という話。
    だから、実力はつかないのです。
    私の教室では、長期的な課題を出します。2ヶ月~3ヶ月がひとつのスパン。全体としてこのくらいの量という目安は出しますが、それが絶対に果たさなければいけない量ではない。むしろ、しっかり理解できることが優先されますから、これとこれはできなかった、という報告があってしかるべきだと思っているのです。
    ここまでの勉強をしたから、合格するという絶対的な量は存在しません。子どもが与えられた時間の中で、どのくらい思考能力や表現能力を鍛えてきたか、が問われるだけであって、「どのくらいの問題を解いたか」が競われているわけではないからです。
    受験学年だけでなく、5年生や4年生でも「ただノルマをこなす」だけの勉強をしている子が目に付きます。本当に実力はついていますか?
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