学校選択にも流行があります。景気があまり良くなかったころは、大学受験の面倒を良く見てくれる学校に人気がありました。中学や高校での塾代を節約できるところが良かったのです。しかし景気がよくなると、ブランドとして聞こえの良い学校に人気が集まります。麻布、開成、駒場東邦、桜蔭、女子学院、雙葉、慶應、早稲田などはもちろんですが、学校がどこにあるかということも大きく影響するようです。そのために学校名に響きの良い地名を加えて改名する学校も出てきました。田園調布学園(前校名・調布学園)や広尾女子(同・順心女子)などはその例でしょう。また高輪(高輪駅)や渋谷学園渋谷(原宿駅)など都心にある学校もなかなか人気があります。交通の便がよくなって、人気がでてきたところもあります。私立は生徒が集まらなければ経営が成り立たないので、募集に関してもいろいろな手を考えます。学校のイメージを良くするという意味では建物にも力が入っています。食堂を完備して食べ盛りの生徒たちが十分に満足できるように気を遣っていますし、お母さんもお弁当を作らないで済むので喜ばれているようです。
学校の内容については、十分に調べておく必要があります。たとえば、実際にその学校の英語の授業は何をやっているのか、知らないで入れてしまう方が多いのではないでしょうか。もちろん各校とも教科や指導内容の充実には力をいれていますし、土曜日に授業をやる学校のほうが多いでしょう。
英語に力をいれている学校は多くなりました。たとえばプログレスという特別な教科書を使っている学校も少なくありません。ただプログレスはすぐ過去形が始まるなど、独特なカリキュラムになっている分、文法がわかりにくくなる傾向があります。その点を学校側が理解して、別に文法の授業を行っていれば良いのですが、そうでない場合は、かえって英語が不得意になる可能性があります。
また独自の教科書や独自のシラバス(講義予定表)で進んでいく学校もあります。英語ではアメリカやイギリスの教科書を使う先生もいますから、進んでいくうちに英語がわからなくなったという生徒も出てきます。オリジナルの教科書を使っているところもあります。ある学校では、オリジナルの教科書に解答がついていません。もちろん授業で先生が解説をしてくれるので、その授業をきちんと聞いていれば、問題はないのです。ところがそれを聞いていないと、期末試験では大変苦労します。学校は自分で問題を解決すべきだと考えていて、私はこの考え方はとてもよいと思います。しかし、ただ甘やかして、親がいろいろなことをしてあげた子どもにとっては大変つらい学校になるでしょう。そのことに親が気づいていなければならないのです。
学校がブランド化するにつれて、その学校をただ「よい学校」だと思い込んでしまう傾向が親子ともに見られるようです。しかしせっかく合格したにもかかわらず途中でやめてしまった子もいます。ただブランドにあこがれていただけで、本当に学校として見られていなかったのかもしれませんね。
ですから、学校をブランドとしてみるのではなく、子どもを通わせていいのか、本当に自分の子どもに会うのかをしっかり考えておくべきでしょう。