あるキリスト教系の中学校。最近は大学受験の結果もよく、人気がでてきています。なかなか難しい学校だったので、合格したときB君はとてもうれしそうでした。いままでの努力が報われた――と非常にはればれした気持ちで学校に通いはじめたのです。
が、つまづきはすぐ始まりました。ひとつには中学受験が終わったあと、遊びぐせがついてしまったこと。宿題やテストが多いその学校で、たちまち彼の成績は下がってしまいました。しかも、担任との相性が悪い。何かにつけて自分が悪くいわれる。B君は次第に担任に対して不信感を持つようになります。家庭では、何とか学校でまじめにやってほしいと思うのですが、ちょうど反抗期も重なって親のいうこともなかなか聞き入れません。しかも、学校が楽しくない。やがてB君は学校に行くのをやめてしまいました。
家族は何度か学校との話し合いを持ちましたが、解決する糸口は見つかりません。そして中学3年生の秋、突然B君は附属高校への推薦から外されてしまいました。結局B君は中学3年の秋から高校受験の準備をしなければならなくなりました。しかし、それ以上に先生や学校に対する不信感がさらに増すことになりました。
中学生といってもまだ子どもですから、つまづきは当然あるでしょう。しかし、それをどう見守ってくれるのか、これは学校の持つ大事な役割だと私は思います。が、私立はとかくこういう問題にはフタをしてしまうことが多い。いじめの問題も根深いものがあります。たとえば、附属の小学校から上がってくるグループ。当然、6年間いっしょでしたから、そこにひとつの序列ができています。それに外から新しいメンバーが入ってくると軋轢(あつれき)が生ずるケースがあります。たとえば附属小のリーダー格の子が、中学から入ったある子が気に入らない。そうすると附属のメンバーに命じていじめてしまう。しかも、そういう子どもたちのいじめはなかなか陰湿なものがあります。いじめられる子が何らか訴えれば、まだ未然に防げる部分もありますが、こういういじめは「脅迫まがい」のことがいっしょに行われていることが多く、いじめられている子をなかなか救えない場合が多いのです。
また子どもが何らか訴えたとしても、学校がしっかり対応してくれているかどうか疑問が残る場合が少なくありません。学校にもよるでしょうが、退学させて終わりにしてしまうケースもよく耳にします。しかし、それで問題が解決するわけではありません。たとえばいじめの首謀者が退学させられたからといって、はらいせに何かをやることも十分考えられるのです。
近年、いじめの問題は社会問題化していますが、私立中にも当然いじめはあります。しかし、どんな対応をしているのか、などという話はなかなか説明会でも聞けないでしょう。マイナス情報をディスクローズ(公開)してくれる学校はほとんどありません。親としては、そういう話こそ、本当に聞きたい情報ではあるのですが。