今年の一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の2月1日の私立中学受験者数は3万7568人となったそうです。前年比は3%減。総人口ではこの学年が前年比1%減ぐらいですから、中学受験を選ばなかった家庭が増えたということです。
バブルが崩壊した、とか、いろいろ報道されていますが、過去こういう波は何回かありました。実際に子どもの数は減少しているのだから、中学受験もその影響を受けないはずはない。しかし、例えば「ゆとり教育」が始まったりして、神風が吹いたように中学受験人口が増えたりしたのです。
私はようやく普通の状態に戻ったかな、という印象を持っていますが、実際に募集定員が埋まらない学校も2割程度あるそうで、そういう学校は大変でしょう。しかし、考えてみると、今の上位校も最初から上位校であったわけではないのです。振り返ってみれば、「難しくなったなあ」と思う学校が多いのですが、当然、それだけ学校は努力してきたし、いろいろな改革を続けてきています。
学校が塾に営業に来たところで、募集はうまくいきません。学校自体が子どもたち、お父さん、お母さん、にとって魅力的になっていないと、募集はうまくいかない。だから、学校はいろいろな工夫をするし、特徴を考えるし、特別なカリキュラムやシステムを組むことになるのです。それが1回でうまくはいかない。当然、何年もいろいろな改革をして、それがまず学内で定着し、結果が出て、受験生の家庭に伝わっていく。その繰り返しの中から、これまでの学校は良くなってきたのです。
私は以前、「偏差値が高くて悪い学校がある、偏差値が低くても良い学校がある」というお話をしていました。
この「良い、悪い」は実は「子どもに合う、合わない」だと思うのです。学校に合うというのは、まずスクールカラーがなじむこと。そして、その学校が持つシステムや教科の特質の中で、その子の持つ潜在的な力が伸びる、ということではないかと思います。
ある学校で、特別な留学制度をやっていて、その子はそのシステムを使ってカナダに留学した。そして現地でサイエンスフェアという自分の研究を発表する機会をもらって、最高賞をとった。その経験からそのまま、アメリカで学び、研究者になった。この子は日本の大学を受験しているわけではないので、その意味では大学受験の実績とは関係ありません。しかし、この学校にいたからこそ、留学の機会もあったし、そこで自分の研究を発表する機会も得られた。もちろんその学校に行ったすべての子がそうであるわけではなく、その子がそのシステムを利用して、自分の力を伸ばしたわけですが、でも、そういう機会を活かした、ということは、その子にとって明らかにこの学校は良い学校だった、と言えるわけでしょう。
学校はどうしてもアピールを大学受験の実績に求める傾向がありますが、私は、もっと学校が取り組むべきことがたくさんあるように思います。まして今は国際的な時代になっているのだから、例えばアメリカの大学に進学するのなら、ここ、というような特徴があってもいいのではないか、ぐらいに思うのです。
その意味において、これからしばらくは学校が良くなる時期に入るかもしれませんね。
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