コーチングの課題(2)

コーチングというと、「子どもに勉強を教えなければいけない」と考えられる方が多いようです。コーチングは子どもに勉強を教えることではありません。
「子どもの可能性をフルに引き出す」ということが目的です。

ここで世のコーチはよくこんなことばを口にするそうです。
「答えはあなたの中にあります。」
って、それはそうでしょう。問題はそれをどういう方法で引き出すか?ということがコーチングの極意なのですが、それだけ言って終わりになってしまっては話になりませんね。

さて、中学受験をする子どもに対するコーチングで重要な点は2つあります。

1つは、子どもの動機付け。
なぜ、勉強するのか。なぜ、中学受験するのか?

そこで小難しい話を例えば小学校4年生にして、よくわかるか?「勉強すれば社会に出てから役に立つ」といわれたところで、子どもたちに具体的なイメージがわかないでしょう。だから、子どもたちが具体的にイメージのわくような動機付けをしていかなければなりません。

私のよくやる話は2つ。
1つは学校の休み。私立は明らかに公立より休みが長い。(例えば期末試験の後はすべて試験休みにしてしまう学校もあります。)

もうひとつは子どもの好きな分野の話。
サッカーが好きな子はサッカー部。鉄道模型が好きな子は鉄道研究会の話。要は、中学に進むと、こんなに好きなことができる、という話です。

勉強の必要性は、6年生ぐらいになって、自分でも勉強ができる状態になってから、じっくり話せばいいのです。
子どもがわかるように話をしていく、これがひとつ大事なポイントでしょう。

もうひとつは、具体的な学習の指示です。

前からお話しているように、中学受験の範囲は高校受験の範囲とかなり重なるくらい広く、また難しいものです。小学校の勉強だけで私立の問題が解けるか?といわれれば、それは無理でしょう。一方でそれを効率よく小学生が学習していくためには、必要なもの、よく出題されるもの、いろいろな優先軸をつけて考えていかなければいけないのです。

それを子どもが一人でできるか?といえば、それはなかなか難しいでしょう。私はこれまで教えてきたなかで、それができた子は一人しか知りません。

したがって、これは親が上手にコーチングしていく必要があるのです。中学生や高校生はそれを自分でやる生徒の方が多いでしょう。実際、入試会場に中学生や高校生は自分ひとりで行くことが多いのです。小学生は?ほとんど、親といっしょにいくでしょう。だからサポートが必要なのです。

塾や個別指導はある意味、トレーニングの場を提供しています。しかし中学入試は個人競技ですから、当然、個人で力をつける練習が必要になるでしょう。それを誰がコントロールするのか、中学受験で親のコーチングが必要なのはこの点なのです。

私は長く母親講座をやってきましたが、中学受験では親のかかわりがが必ず必要になるからです。しかし、それはもう少し消極的な目的でした。というのは、お母さんがコーチングどころか、子どもたちのまわりを引っ掻き回してしまい、子どもの力がまったくでない場合すらあったからです。まずはそれをとめること、母親講座の目的はそこからでした。しかし、だいぶいろいろなお話をしてきて、さすがにそういうお母さんは少なくなりました。(ゼロとは思いませんけど。)

今は、もう少しお母さんが積極的にコーチングをしていった方が良いと私は思っています。少子化の中で、確実に子どもたちの精神年齢が幼くなった一方で中学受験は過熱化しており、子どもが直接受けるストレスがかなり増えてきたからです。子どもたちのやるべきことをもっと絞り、有効に時間を使えるようにする、手帳の発想もそこから生まれました。

ぜひお父さん、お母さんが、子どもたちの良いコーチになってあげてください。

もちろんできますとも。杉山愛のお母さんもテニスは自分では得意ではないが、立派にコーチを務めているし、横峰さくらのパパもそうでしょう。子どものことを一番考えているのは、親なのですから。

 

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