無理に前倒しする必要はない

中学受験の範囲は学校の学習範囲でいえば小学校5年~中学校2年ぐらいまでの幅があります。受験人口が増えて競争が厳しくなるにつれ、範囲も少しずつ広がってきていて、昔この問題はむずかしかったのになあと思う問題がもはや基本問題になっているような感じがします。

実際、ここ7年ぐらいの間に中学受験のカリキュラムは増加し、そして前倒しされてきました。私が中学受験の指導を始めたころ、カリキュラムは5年生から始まるものでした。それがいまや3年生から2科目、4年生では4科目。2年半もかけてカリキュラムが作られているのです。しかしながら・・・

例えば4年生の社会は、「暖かい地方のくらし」「盆地のくらし」など日本地理の先取りです。しかし地理は5年生の前期にやる内容なので、別に4年でやらなくても後からできるのです。カリキュラムはスパイラルであることが多く、学習したことをまたしばらくしてから学習するという感じになっていますから、あわててやらずとも後から勉強することはできます。

実際に入試で出題される範囲はやはり小学校5年、6年で勉強することがほとんどなのです。しかし分量が多くなっている分、早くからやらないと間に合わないという前提でカリキュラムが作られます。

しかし、3年生や4年生がそこまでやれるのか?といえばそうではないでしょう。だからここでモチベーションを持ってもらう必要があります。子どもに?いいえ、親にです。ここから始めて上位のクラスにいないと、上位の学校には入れませんよといわんばかりに、毎月テストをし、クラスわけをするのです。

先日ある保護者の方とお話をしました。ある大手の塾に3年生から入会し、3年生のときはトップクラス、そこからどんどん下がり始め、今では真ん中を維持するのがやっと。本人に会ってみると「どうしてそんなにオドオドするんだろう」と思うくらい自信がなさそうでした。

彼の力は私はもっとあると思いました。しかし3年生からスタートしてはや4年。お母さんは一生懸命やってこられたでしょう。でも早すぎたのです。だから本人が本来やる気になるべき時期にもう疲れてしまっていることになりました。

別の塾で数クラス落ちた後、2回の組み分け試験でようやくもとのクラスにもどった保護者の方がこんな話をしてくれました。
「でもだからといって、模擬試験の成績は決して良くはないのです。あんなに力を入れてきたのに、あれは何だったんでしょうか」

本来伸ばすべきときに伸ばせばいいのです。私は5年と6年で準備するしかないと思っています。4年生の女の子と話をしていてそれを再確認しました。

「どうして私はこの塾に来たか知ってる?」
「ママに行けって言われたからでしょ?」
「そう。でもママはね、先生の本を読んだからっていってたわ。」

まあ、そんなもんです。

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無理に前倒しする必要はない への2件のコメント

  1. Unknown より:

    Unknown
    ということは、5年生ぐらいから入塾したほうが良いということでしょうか。

  2. Unknown
    少なくとも受験勉強はそこからが中心でしょう。基礎学力については、それこそ個人差がありますが、別に塾に入らなければ出来上がらないというものではありませんから、そこのチェックができていれば別に早くから入塾しなくてもいいと私は思います。

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    日能研(にちのうけん)は、神奈川県横浜市港北区新横浜に本部を置く学習塾・予備校である。主な業務は小学生を対象とした中学受験学習指導。「四角い頭を丸くする」という広告のコピーや、「Nカバン」(または「Nバッグ」)は、広く一般に知られている。