第7回 私学の良さとは

■最近、機会があって受験校、付属校それぞれの先生から最近の学校の内容について話を聞くことになりました。

■ まず受験校。これまでは大学受験の結果について説明を続けてきたのを、内容を縮小。その代わり、現在の授業の進め方や学校の考え方について詳しく説明されました。大学受験の結果は、昔に比べればはるかによくなっていますが、かといってここ5年ほどは一進一退が続いていました。今の学校の偏差値から考えても健闘しているものの、これ以上良くなるというのはなかなか難しいかもしれません。しかし、そこで停滞することなく、子供たちに受験ばかりでない考える力をつけることを指導しようと、授業内でいろいろな工夫を始めたそうです。まだ結果が出るというわけではありませんが、スタートはつい、昨年の話。検討されたのは2年間ですが、実にスピーディに試みが展開されています。

■続いて付属校。この学校は全員が付属の大学に進学します。そこで高校2年生に対して、いろいろな分野の人に話をしてもらう機会を作りました。これまで自分の教科の得手不得手で、進学学部を決めている学生が多いので、本当に自分が何をやりたいのか考えてもらう機会の一環だそうです。これは校長先生の肝いりで今年からスタート。

■私学の良さにはいろいろありますが、最近感じていることは意思決定の早さです。これは学校によって違うかもしれませんが、しかし公立の学校に比べればいろいろと、新しい試みが取り入れられています。公立の場合は、審議会、教育委員会などいろいろな検討機関があるので、その学校で決められることは少ないのかもしれません。しかし、私学の場合は、それぞれが独立の経営体ですから、差別化しなければ、学校は生徒や保護者から選ばれなくなります。その差別化を長い期間をかけて行っても、実際にタイミングをずらしてしまうことはたくさんあります。必要だと思ったことは、すばやく行動できる力が学校にあるかどうかは教育の質には必要なことです。

■そういう意味で、私学の意思決定が校長先生や現場の職員会にゆだねられているのであれば、これはその力を使う人の問題になります。すなわち、学校や生徒の現状を鑑みながら、すばやく対応する気があるかどうかです。これは校長先生の資質にかかわる部分が大きいですが、しかし私学でいろいろなことが試みられていることを考えれば、やはり良い先生がトップになっているのではなかろうかと思います。

■私学は、今後、また変わっていくでしょう。施設についても新しくなった学校が増えました。パソコンやインターネットの環境を増強したり、体験学習を増やしたり、子供の学力差を広げないために個別指導を導入した学校もあります。いずれにしても公立に比べれば私学に通わせるために経済的な負担は少なくありませんが、最近、その投資が十分見合い始めているような気がします。そういう意味で、私学の内容はしっかり見極めておきましょう。特に校長先生の話は大事ですから、ぜひ説明会の話を聞かれると良いでしょう。

(平成15年7月6日)

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