第24回 腹をくくる

「中学受験、合格して失敗する子、不合格でも成功する子」から。抜粋。
「ここまでくると、いてもたってもいられないという感じをお持ちになるかもしれませんね。私には何かできることはないだろうか。この時期、お母さんにしていただきたいことは、二つあります。ひとつは健康管理。もうひとつはどーんと構えていただくことです。お母さんが心配すれば、子供はもっと心配します。お母さんが子供たちに一番近いように、子供たちもお母さんに一番近いのです。お母さんが心配すれば、僕は危ないかもしれないと思うようになります。だから心配してはいけないのです。土台、不安というものは試験の結果が出るまでは、解消しません。でもどうして不安なのでしょうか。落ちたらどうしよう、このことが漠然とのしかかってくるからです。でもこればかりは、子供のために、追い払わなければいけません。だから、「受験ぐらいで子供の人生は決まらない」とまず思ってください。私はいままで、たくさんの子供たちを送り出してきました。でも受験の成功が人生の成功につながるとは限りません。失敗したことがかえって、その子供たちの人生にプラスになったことはたくさんあります。また成功が後々失敗の原因になってしまったことも多々あるのです。ですから今回の受験は温かく、見守ってあげましょう。子供たちは初めて、自分の力で勝負するのです。

そして「私の子供だから何とかする」そう思っていただきたいのです。ぜひお子さんを信じてあげてください。このことに根拠はいりません。自分の子供をただ信じればよいのです。そして結果が出たら、その結果を子供の次の成長に役立てればよいのです。来年の4月になれば、お子さんは必ずどこかの中学に通うようになります。これは義務教育ですから、必ずそうなります。そしてその学校に行くことが、後で振り返ったときに、あの子にはベストだったと思えるようにすればいいのです。そんなふうにお母さんに自信があふれてくると、これはまた子供の自信につながります。かえってよい結果が出てくるでしょう。ですからどーんとかまえて、子供たちが自分の力を思い切りだせるように信じてあげてほしいと思います。」

(田中 貴)

(2005年10月2日)

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