第40回 2006年入試をふりかえって(1) 

■首都圏の2006年の入試が大方終了しました。今年はやはり受験者の増加で合格ラインが上がり、入試としてはなかなか厳しいものになったのではないかという印象です。全体としては高望み傾向が続いており、偏差値50以上の学校での競争はなかなか大変でした。受験者のレベルはあまり大きな差がないようで、例えば1次では不合格だったが、2次では合格したという生徒も少なからずいたようです。

■詳しい分析は集計を待たないと何ともいえませんが、ここのところ合格点の低下が言われていて、入試ではっきり差をつけるために入試問題のレベルをやややさしくした学校がでてきたようです。その結果として、合格点が上昇し、小さなミスが失敗につながったケースが見られました。

■一方で、それだけ僅差な入試なので合格可能性を下回っていた受験生にもチャンスが生まれ、志望校合格がかなった生徒も見られました。いずれにしても受験生のレベルは、全体的に上がった感があります。

■問題がやさしくなり、合格点が上昇する入試では、やはりていねいに解く子どもたちが俄然有利になってきます。難しい問題はさておき、自分の解ける問題を確実に正解した子どもたちが合格して行った入試だったと思いますが、これから集計を出していきますので3月の中学入試説明会ではもう少しくわしいお話ができるでしょう。

■来年に向けては、やはり僅差の勝負をどう勝ち抜くかということになってきます。したがって時間を計って、入試傾向に沿った問題をしっかり練習し、その過程でていねいさをしっかり身につけることが重要でしょう。取れるところは確実に取るという資質はこれまで以上に大事になってきています。

■一方でこれだけ入試が厳しくなると、無理がまかり通ってきますから、これには十分注意しなければならないでしょう。受験生といってもまだ小学生ですから、やはりできることには限りがあります。無理を重ねて、それが子どもの資質に大きな影響を与えないように、見守る大人が十分注意しなければならない時期になったように思います。

(田中 貴)

(2006年2月7日)

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