第14回 「カリキュラム」 

 5年生の算数、理科を用賀で教え始めました。むずかしいことをやっています。ホント。こんなことが11歳の子供たちにわかるかどうか、という話になるとはっきり言えば、「まだまだだろうな」という感はいなめないのです。しかし、だからといって何もやらないわけにはいかない、これまた15ヵ月後には入試がくるわけですから。私は子どもたちを教えながらいつも「何かに自信を持たせる」ように考えています。「今日は、これができるようになった」「この問題がわかるようになった」そのひとつひとつが子供たちの力になり、自信になるようにしていくのです。

  「すごいねえ。何で出来たの?」「よくわかったねえ。たいしたもんだ。」ひとつひとつのできばえが子どもたちの中で力になってくれば、積極的にもなるし、勉強も楽しくなります。理解できなければ、ほめてもらえなければ、勉強は決して楽しくないし、逆にいえばそこまで辛抱して何かをやり遂げる忍耐力は今の子供たちにはないので、そういう教え方をするのです。

 そうなるとカリキュラムというのは何なのか?という問題をやはり考えてしまうのです。本来で言えば、子どもたちの状況に合わせてカリキュラムがあるべきなのです。ところが一定の割合で進むために、あるペースが作られる。そのペースについてこれなければ、上位校合格は難しいですよ、といわれてがんばりはするけれど、その実、「こんなの無理だよね」と思っておられるお父さん、お母さんは少なくないのではないでしょうか。「無理だ」と思ったら「無理を通す」のはやめましょう。別に塾のテストの成績で合格させてくれるわけではないのだから。

 カリキュラムとはそんなものだと思ってください。今、私が教えている5年生の一人は算数は4年生からもう一度やり直し、理科は現状のカリキュラムにあわせてやっています。それでもできるようになれば、それなりに進歩や自信が生まれています。でも、やれると思うから前へ進むのです。5年生の今から疲れてしまうのは、どうも考えものではないでしょうか。

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