僅差の勝負をどう制すか(1)

2007年の入試は、僅差の勝負だったと思われます。高望み傾向といわれながらも、第二志望以降については例年になく手堅い併願校選びが行われ、中堅校の合格点は前年に比べて上昇しました。第一志望についても、チャレンジ層の受験は減少して、受験生の実力差はほとんどないという状況だったようです。

そうなると、この僅差の勝負をどう制するか?ということが受験対策の中でも大きなウェイトを占めてきます。ほんの数点で合格を逃した受験生は少なくないので、逆にミスなく、確実に解くということをいかに子供たちに身に付けさせていくかということが重要なのです。

昨日、こんな問題を6年生が解いていました。

A管だと15分、B管だと10分で水が入り、C管だと12分で水がなくなる水そうがあります。A、B、C3つをあけて入れると何分でいっぱいになりますか。

例えば全体の水そうの容積を60とすればAは4、Bは6、Cは5となります。とここで、問題を良く読んでいないと
60÷(4+6+5)=4分と答えてしまうのです。
ところがC管は出すので正しくは
60÷(4+6ー5)=12分が正しい。やり方はわかっていても、C管が出す管であることを忘れてしまうと、ミスがおこるわけです。

ところが最近の子どもたちはこの早飲み込み、題意の不理解が非常に目立ちます。以前にもまして文章を読みとる力が減少している、だから算数ばかりでなく、理科や社会でもこういう失敗が起こるのです。

中学受験の範囲は小5~中2に及ぶ分、それを正確に理解させることはなかなか大変です。まして、題意を正確に理解して問題を解くということは、日ごろの勉強をいかにていねいにするかということにかかってきます。

ところが実際に毎週、毎月のテストに追われていると、国語の勉強をあまりしなくなる、じっくり文章を読むという練習が少なくなるのです。どうも最近の受験対策は小手先に追われていて、しっかりとした基礎学力をつけるということに手が抜かれている感じがするのですね。

僅差の勝負である以上、できる問題は確実に得点するということが必要です。したがって題意を正確につかむ練習は、不可欠なのです。もう一度、1週間の中で国語にあてている時間を検討してみてください。後でもできる社会や理科の知識に追われて、じっくりと文章を読み取る練習をしていないと、あとで手痛いことになるから注意が必要です。

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僅差の勝負をどう制すか(1) への4件のコメント

  1. 見事に・・・(新6年男児母) より:

    ひっかかりました、この問題(泣)。
    我が息子も、まさに先生のおっしゃる”最近のこどもたち”です。
    (母子共に、すでに自覚してはおりましたが・・・やはりショックです)

    「いい?、キミの”注意深さ”を見る問題だから、しっかり問題文を読んで解いてね。
    問題自体は難しくないよ。」
    と、わざわざ!!、やさしい母は、前置きして出したんです、息子に。

    で・・・「できた!」とうれしそうに(半ばこんな簡単な問題、楽勝だぜ、とでも言いたげな得意顔で)言うので、
    「まさか”4分”、なんて答え出してないよねぇ・・・?」
    「ええっ、4分じゃないの???」
    「問題よく読んで、って言ったよねぇ・・・。」
    「あ”・・・、12分だ・・・。」
    「入試は一回勝負だよ。わかる問題は、とにかく一度で正確に答えを出さないといけないの。受かるか、落ちるかはこういうところで決まるの。君のいる層は一番人数が多くてね、そんなに能力の差もないの。だから、・・・・・・・・・・etc.」
    いけないとは思いつつ、しばらく説教タイムになってしまいました。

    このおっちょこちょい&早とちり、どうしたら改善されるようになるのでしょう。
    本当に悩みはつきません。

  2. gorilla より:

    こんにちは 田中貴です。

    そうですか、でも、そういうお子さんは多いのです。ていねいに解くということは、今の段階ではなかなか難しいでしょう。まだ1点差勝負ということは、なかなかピンときません。

    だからこそ、普段の学習のやり方が大事になるのです。たくさんの宿題や課題をこなすということばかりに目が行ってしまうと、こういう点はおざなりになってしまい、最後までていねいさが身につかないという事態になってしまいます。

    お説教も必要ですが、具体的にどう勉強するか、工夫が必要ですね。まずは確認する作業と、式をていねいに書くということを確実にできるようにしてみてください。

  3. 見事に・・・(新6年男児母) より:

    早々にご回答ありがとうございました。お礼が遅くなり申し訳ありません。
    実は先生のお答えを頭に置きつつ、息子の様子を観察しておりました。
    汚い字で書いた式でも(基本~練習レベルなら)、合ってしまっているので、
    最近はあまり厳しくは注意をしておりませんでした。

    実は、6年になって、”量をこなすこと”と”丁寧に解くこと(質、になるのでしょうか)”のバランスに大変苦慮しております。

    少ない問題で、原理原則を理解し、それを運用・応用できる力のあるお子さんならよいのですが(きっと丁寧だから、そうなるのでしょうか)、ある程度の量をこなし、しかもできなかった問題を繰り返して行く中で理解・定着させていく我が子の場合、
    (このやり方で、基礎力はついたのですが、)どこかで思い切ってやり方を変えないと、”応用力”が育たないような気がしているこの頃です。
    特に6年生になってから、ひしひしと感じております。

    19日の講演会に参加させていただく予定でおりますので、いろいろお伺いできたらうれしいです。
    とても楽しみにしております。

  4. gorilla より:

    田中です。

    確かに反復練習は必要です。問題は、これが応用になったとき、「パターンを網羅する」という形にはまってしまうと、なかなか考える力がつかなくなるという点です。
    そのあたりはまた詳しくご説明したいと思っています。