ちょっといやな話

そろそろ時効ですから、みなさんの参考になるお話をしてみたいと思います。

Aという学校を志望している6年生の女の子がいました。Aという学校は御三家ほどではないが、なかなか難しい学校のひとつです。ところが6年生の5月(つまり今頃の話ですが)、模擬試験で彼女はAの合格確実圏よりも5ポイント高い点数をとりました。本人としては順調と思ったでしょうが、ところが塾の対応は違っていました。
「この点数ではもったいない。A校ではなく、B校にしましょう。うちの塾にはA校の対策授業はないが、B校の対策授業ならありますから、絶対B校がお勧めです。」

こういう話になり、困ったお母さんは私にメールで相談をくれました。

私の返事は、
「A校が志望校ならば、A校を狙うべきです。A校の対策がないというのなら、A校の対策をしている塾を探した方がいいでしょう。」

だったのですが、結局、塾を変えるというのはエネルギーの要る話なので、彼女は塾を変えることもなく、塾の先生の勧めにしたがって、B校の志望に変え、B校志望対策に行くことになりました。

B校の対策といっても、彼女の通っている教室でやるわけではありません。週1回、家から1時間近くかかる遠い教室に通うことになったわけです。しかも、普段のクラスは同じ。B校の対策をするわけではありませんから、B校の対策といっても週1回だけなのです。

で、結局、彼女はB校を受けたのですが、残念ながら不合格でC校という滑り止めに行くことになりました。C校は残念ながらA校にも及ばないところではあるのです。

私がこの話を聞いて、ちょっと腹が立ったのは、2つ。

ひとつはなぜA校を認めないのか。それは合格実績から考えるとB校の方が映えるというただ、それだけの理由でしかないからです。

もうひとつはB校の対策しかできない、というのは塾の理由に他ならない。本来でいえば、A校に行きたいと思う気持ちをかなえるのが塾ではないでしょうか。

でも、これが受験塾の普通の考え方なのです。

私は以前の塾をやめて新しい塾を創るとき、「子どもたちの入りたい学校に入れる塾にしよう」と決めました。塾の都合はどうでもいい。とにかく、入りたいと思う学校にいれてあげられれば、それが一番だと思ったからです。

今、慶應進学館をやっていて、非常に楽なのは、慶應に入りたいと思う子しかいないし、こちらもそれに応えることに全力であたればいい、とてもシンプルだからです。

いろいろな志望校を持つ子を預かる塾にとっては難しい話でしょう。でもA校に入れようとすることはできたはずです。そして彼女はたぶん、A校に合格できる可能性は高かったと思うのです。

子どもの可能性がこういうことで、なくなってしまう、というのは、私にとってはちょっと腹立たしい話なのです。

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