桜の時期を過ぎましたが、これから桜前線は北上を続けていきます。ということを、ニュースでやっていたのですが、ふと2007年の栄光の問題を思い出しました。
栄光の理科は、作業したり、ものを考えさせることが非常に多く、ある意味高度なPISA型ということができるかもしれません。
まず問2で
サクラの開花日の等しい地点を曲線でつないだものを桜前線、正式には「開花日の等期日線」と呼んでいます。表1は、30年間(1971年~2000年)の、全国各地で観測されたサクラの開花日の平均です。
この表をもとに、解答用紙の地図に、①~⑦の7本のサクラの開花日の等期日線をかきなさい。作図のために解答用紙の図中にメモした日付などは、消す必要はありません。
①3月26日 ②3月31日 ③4月5日 ④4月10日 ⑤4月15日 ⑥4月20日 ⑦4月25日
解答用紙も
となっていて、本格的です。
で問6で
問2でかいたサクラの開花日の等期日線の特徴を2つ書き、なぜそのようになるか、原因をそれぞれ答えなさい。
という問題があるのですが、これが問3ではないところが良い問題であると思う理由です。
問3は
表2は札幌でのサクラの開花日です。1995年から2006年までの、札幌でのサクラの開花日の平均は何月何日ですか。
として、平均開花日について考えさせ、札幌という地理と開花日についてヒントを与えている。
問4では
神奈川県西部の小田原ー強羅間を結ぶ箱根登山電車の線路沿いには、たくさんのアジサイが植えられ、花の時期には車窓の風景がとてもきれいです。
図1は箱根登山電車沿線の地図、図2は高さ約30mの小田原の1日の平均気温の平年値(注)です。アジサイの花は、1日の平均気温が20℃になると開花するといわれています。高さが100m高くなるごとに気温は0.6℃低くなるものとして、次の①~③の各駅付近のアジサイの予想開花日を求めなさい。
(注)小田原の平年値は、1976年から2000年までの観測値の平均です。
①強羅駅(高さ約520m)②宮ノ下駅(高さ約430m)③塔ノ沢駅(高さ約160m)
と高度を意識させている。
進んで問5で
図3はカニデの葉が赤く色づく日についての、10日ごとの等期日線をかいた図です。図中の線Aは10月31日のものです。B、C、Dの線の日付を答えなさい。
として10日毎の等期日線の見方、考え方を誘導している。
そして最後に問6で
問2でかいたサクラの開花日の等期日線の特徴を2つ書き、なぜそのようになるか、原因をそれぞれ答えなさい。
と聞いているのです。
この流れからすれば
1)等期日線は南から北に移っていく。これはサクラは気温が高くなると開花するが、平均気温が南から順に上がっていくため。
2)急な曲りがある。同じ緯度であっても、山間部は気温が低くなるため、開花が遅れる。
というようなことが結論になってくるでしょう。
しかし、これだけの作業をさせてものを考える試験というのは、なかなかありません。しかもデータを出すために、グラフや表を正確に読み取らせています。この分量を入試でやってしまうと、他のテーマに手を出すのはなかなか難しいが、それが学校の考え方ということでしょう。
ものごとを掘り下げて考えるということはこういうことだ、と教えてくれる大事なメッセージと思います。
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