個別指導

「高校受験生の40%は個別指導塾に通っているのです。」
ある高校受験塾の先生から、話を聞いて「そうだろうなあ」と思いました。最近どこの駅を降りても個別指導塾はたくさんあります。そういえばこの前大手の大学受験予備校の方が「受験生が減ってきたので個別指導を展開しているのです。」とおっしゃっていました。これだけの個別指導塾があって成り立っているのは、それだけ個別指導に対するニーズが高まっているのでしょうが、実はこれには困った背景があるようです。

これまでは高校受験をする場合、多くの生徒が集合塾に通っていました。しかし、学力低下が問題になるにつれ、集合授業ではついていけない生徒が増え始めたのです。個別指導の先生は学生や主婦が主力になりますが、むずかしいことを教える必要はなく、むしろ何回もおなじことをていねいに繰り返して練習させる必要があるのだそうです。

集団授業についていけない、これは中学になったからそうだったのではなく、小学校時代からもうその要素は持っていたはずです。実際に近年、小学生の学力を測定しながら習熟度を確認するようなやり方は見られなくなりました。学校の授業がわからない、しかし何がわからないのかはっきりしないまま、小学校を卒業して中学に進み、そこで授業やテストを受けて、ついていけない、つまづきはどこからはじまったのかといえば、小学校の算数だったりするようです。

その結果として個別指導がフォローをするわけですが、すでに4~5年「わからない」が当たり前になっている子供たちにとって高校受験の勉強は実に重くなっているようです。

前述の高校受験の先生は、こういわれました。
「先生、高校受験生の格差は本当にひろがっているのです。上は開成などもう大学受験もいけるのではないかと思われる生徒がいる一方で、もう一度小学生からやり直す方が良いと思われる生徒がいる。それだけ日本の教育の力が落ちてきているんだということを、親は本当に認識していないとえらいことになってしまいますよ。」

小学校の低学年から、ほんのちょっと親が子供の勉強の様子を見ておくだけで、だいぶ違いがあるようです。加熱する中学受験とまったく反対のことが実は静かに進んでいるのかもしれません。

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