第11回 「積極性」 

どんな子にもほめるべきところがあります。私は少なくとも小学生のうちは絶対に「ほめて育てる」べきだと思っています。なぜかといえば、小学生はまだ常識がありません。できると思ったらできる、やりたいと思えばその気持ちが積極的な態度に表れるのです。逆に消極的になればこれは病的と思うくらいに、引っ込み思案になってしまう場合もあるでしょう。

 大きくなれば自分でバランスがとれるようになってきますが、小学生の場合はまだまだそう上手なバランスにはなりません。だから、多少おっちょこちょいでも、向こう見ずでも良いから「ほめて」育てることをお薦めしています。人間誰しもほめられればうれしい、自分に自信ができれば当然積極的になります。その積極性が絶対的なものになれば、「窮して困(くる)しまず、憂いて意(こころ)衰えず」ということになりますが、やはりどうしても心配は心配、心乱すことがあるわけです。それを支えるのが積極的な気持ち、心持ちです。私は受験期の子どもたちには「みじんも「落ちる」ということは考えず、志望校に入ったら何をしよう、どのクラブに入ろう、楽しいことばかりを思っていなさい」と言います。もちろん、そればかり思って、勉強しないのは論外ですが、しかし心配しながら勉強するのはもっとも良くないのです。その心配を取り除く方法が「ほめる」ことなのです。

 最後は「うちの子だから何とかする」とそう思ってください。これは根拠などいりません。信心だと思えばよいのです。そうしっかり思っていれば、お母さんの心配も表には出なくなり、子どもたちの自信を支えるでしょう。ふと心配になったときは、「うちの子にはこんないいところがある、だから大丈夫」とそう思ってください。そういう気持ちを選ぶことも親として大事な積極性と思います。

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