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あるお母さんと話をしていて、塾の先生に「過去問を練習したって、同じ問題は出ないから、あまり時間をかけないでください。」と言われたそうです。
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そういえば、時々こういう話を聞くのですが、過去問の勉強の目的が全然違います。過去問を解くことによって、
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(1)学校別の出題傾向になれる。
(2)出題の意図を見ぬく練習をする。
(3)正確に解き上げる練習をする。
(4)じっくり考える訓練をする。
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(1)以外は他の問題でもできる、その通りでしょう。塾にはいろいろな志望校を持つ生徒が集まります。それにいちいち対応できない。だからいろいろな要素を持った問題をやらせるから、過去問の分は心配しなくてもいい(?)という話ならまだ、わかります。ただ、過去問は子どもたちのモチベーションが非常に高くなる。塾の教材やテストで高い点をとるよりも嬉しい。これなら合格しそうだ、と思えるからです。(まあ、逆も確かにありますが。)
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だから過去問をやるのは、実質的な学習効果があります。それに(1)ばっかりは過去問をやらないとできない。土台、同じ問題が出ることを期待して過去問をやるわけではないのです。ただ出題者の顔ぶれはある程度決まっているし、学校がどういう子どもをほしいかという像も決まっている。その中で各校が工夫をこらして作るのが入試問題です。こんなに実践的な教材は、作ろうと思ってもなかなか作れるものではありません。ですから、まずは過去問をやりこなすという勉強をお勧めしているわけです。
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ただ、社会についてはあまり古い問題をやると、データが変わってしまいます。ですから、まあ5年まででいいでしょう。(ただ歴史なんかは、やって損はありません。)
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塾によっては、過去問をする時期をかなり後ろにしているところがあります。これはやはり授業をやる上で、いろいろな子どもたちの第一志望に対応するのは困難であるからです。ただ、逆に言えばそれだけ「出ない問題」をやらされている場合が考えられるので、やはり自宅では過去問をなるべく早めにやった方がいいでしょう。子どもたちはそういう意味では、あまりよく考えないで勉強しているのです。「先生に言われたからやる」という子が圧倒的に多い。でも中学受験の本質は、4年分の先取りですから、どこかを切り捨て、効率化しないとうまくはいかないものです。
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首都圏の入試で言えば、スケジュールが短縮化して2月1、2、3日でほぼ入試が終わってしまいます。ということは、滑り止めを除けば、実際に対策すべき学校は1校か、2校なのです。そこに集中していくことの方が勉強はより効率化できます。その中核が過去問の勉強ですから、ぜひがんばってほしいと思います。