第48回 いったいどこまで・・・

    先日、中学生が期末試験の質問に来ました。質問は理科第一分野、斜面の運動です。
    「あらら・・・」と思ってしまいました。先日作ったDVDの力のつりあいに出てくる内容なのです。
    「これ、やったよね」
    「え、やりましたっけ?」
    まあ、そんなもんでしょう。もう3年も前の話になるのだから。
    しかし、最近の入試問題を見ていると「いったいどこまで教えればいいか?」と思ってしまうことがよくあります。
    電気でも同じで、発熱量の計算は中学では「電力×時間」で習います。電力は、電圧×電流ですが、電力だって多くの小学生にとってはわからない内容でしょう。だから電圧=電流×抵抗ですから電力は電流×電流×抵抗になるので、
    私は発熱量は電流×電流×抵抗に比例するとだけ、教えます。これだけでも、電熱線の発熱の問題はかなりの分野がカバーされるのです。
    ただ・・・
    最近の入試問題はいったいどこまで行くんだろうかと思います。
    受験校は明らかに大学入試を意識して、中学校の課程をかなりの部分勉強している子をとろうという傾向があるように感じます。
    本来中学入試は小学校卒業程度の問題を出すべきですが、しかし、それではあまりにも簡単すぎる。(現在の指導要領などを考えたら、問題が作れないでしょう。) だから小学生でもできる問題になるのは、わかります。しかし、過度に先取りが進むのはいかがなものかと、思うのです。
    実際に私が教えている内容も、中学校の課程の話が多いです。相似形や場合の数でいえば、高校入試のレベルなんて超えているでしょう。これは入試に出ているからやるわけですが、ポイントを絞らないとそれこそ高校受験の問題を解かなければいけないということになってくるでしょう。
    中学受験の対策の難しさはここにあります。全部やるのであれば、中学校の課程をそこそこ全部やるような感覚になってしまうでしょう。しかし、それを約2年間で終わることはかなり難しい。(3年生や4年生でやるのは、さらに無理ですから2年間が勝負です。)だから、効率化を考えないといけない。
    しかし最近のいろいろな塾の教材を見ていると、むしろ全部やろうとしているような感じがしているのです。大量の宿題と早いカリキュラムは、実際に消化することはかなり大変でしょう。
    一方で実際の入試問題を見てみると、そういう勉強が必要な学校はそれほど多くはないのです。これに6年生の2学期に気がつかれる方が多い。
    別に御三家を受けるわけではないし、うちの子が受ける学校にはそんな問題はでていないんです。だから今の塾でやっていることは意味がないような気がして。
    その通りなのです。
    だから早めに第一志望を決めて、6年生の1学期までは基本的なことを中心に学習する、その上で学校別の対策を早めに立てていくことが勉強を効率化するコツなのです。
    私が早い時期からの組み分けテストに危惧を感じているのは、第一志望が決まり学校別の対策を立てようとする前にすでに子どもたちから自信がなくなっていることです。
    子どもたちは、そういう状況にさらされてしまえば、当然、がんばりますが、しかし全員が上位のクラスにいけるわけがない。上位にいないのであれば、その勉強方法は、「違う」ということに気がつかなければいけないのは親なのです。子どもは「がんばる」だけなのですから。
    方法は親が与えたのだから、親が方法を変えてあげる必要があります。ところが、親は塾任せにしてしまう。だから、どんどん子どもたちの可能性がせばまってしまうのです。
    子どもたちが自分で学習方法を変えることはできません。だから親がフォローする必要があります。ただ、それができるからこそ、中学受験のメリットがあるのです。
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