5年生で、光と音を習います。
ただ、光と音に関して入試問題に出る範囲といえば、速さの問題であったり、凸レンズの屈折の問題であったりするのです。
ということは、速さができないといけないし、相似形がわかっていないとできないということが多いもの。
なのに、なぜ5年生で音と光をやるか。
これは6年生の理科が以前お話したとおり、力学、電気、水溶液などで詰まっているからです。
音と光の問題も非常に重要ですが、これらのテーマに比べるとまだ重要度が低い。だから5年でやってもということになるのですが、しかしながら、
本当にわかっていなければならないことは、むしろ6年生の夏期講習や秋の勉強でフォローする内容になるのです。
だから、この時期はほんとうにさわりだけ。
それでも1年前に習うことを思い出すことになるのだから、結局はもう一度やり直すということにはなるはずです。
そうなると6年に積み残すことが結構多くなる。だから第一志望の傾向とのリンクがどうしても必要になってくるわけです。ただ、今の塾の学習は、どうしてもカリキュラムの進行に合わせてやりますから、比重のつけ方が難しい。ここが教える側の力量でもあるのです。
先の勉強をどう考え、今何をなすべきなのか、何を教えておくべきなのか。
忘れるということを前提にして、5年生の勉強を組み立てるということは、やはりベテランの先生だからできるといってもいいことかもしれません。
最近は、塾の現場に学生講師の姿が多くなりました。学生講師自体が悪いとは思いません。年令も子どもたちに近いし、やる気もあるだろうと思うのです。ただ、何もかも全部やらせてしまうという傾向は、どうもぬぐいされない。だからご家庭である程度咀嚼して考えてあげる必要があるでしょう。
私は5年生ではずいぶんのんびりした指導をしています。先日も5年生のお母さんと話をしていて
「お友達はもっと大変みたいなんですけど」
という話を聞きました。そうだろうなと思います。ただ、それが十分子どもたちの力になっていればいいが、今の5年生の精神年齢を考えると、どうしても気持ちが追い込まれてしまいがちになると思うのです。そうなると、自信がつかない、やる気が出ない、ということが度重なっていき、本当に勉強していたの?というような状態になってしまうことが多々あります。
やり切れる課題を見極めて与えること、そしてやりきったという達成感、できるという自信、そういうものを積み重ねていった方がよほど、6年生で力を発揮してくれるようになると思います。