第74回 情報の洪水を止める

    最近、いろいろな塾の保護者の方とお話をする機会が増えました。
    で、本当に微に入り細に入り、いろいろなサービスや授業が行われている、各科目の先生も気合が入っている、というのはわかるのですが、その受け手の側は一人である、ということが認識されていないように思えるのです。
    まだ12才。いろいろな情報を整理し、あるいは聞き流す、ということは難しい。
    まじめに取り組めば取り組むほど、負担は増え、そしてどうしようもなくなってくる。これでは子どもの意欲や積極的な気持ちを引き出すのは難しいと思います。
    例えば授業にしても、教材にしても、親が判断する必要はぜったいにあるのです。
    塾や先生はその子のある面を見て、良かれと思ってやることが多いでしょう。しかし、例えば4教科の4人の先生がみんな一生懸命になったら、子どもはパンクするのです。
    私は、子どものインプットに関してある程度量を制限する必要があると思っています。自分で咀嚼し、十分に血とし、肉とすることができなければ、ただ情報の洪水の中に身をおいているだけで、進歩はない。むしろ自ら考えるという力を削いでしまう可能性だってあるのです。
    先日、特別授業があって、その前日にも同じテーマの授業がありました。
    前の日にやったから、できるだろう?と普通は思うでしょう。
    しかし、そうできるわけではないのです。当たり前ですが、まだ十分に咀嚼できる時間がないからです。だから、持ってかえって自分の机で、自分のペースでもう一度覚えなおすなり、考える必要がある。
    これが学習の基本です。
    猛然と情報を与えたとして、それが合理的にアウトプットされるわけではない。入試はアウトプットの勝負なので、そこをふまえた上でインプットの仕方を考えなければなりません。
    いったん情報の洪水を止めてみてください。何が大事なのか。よく考えてあげてほしいと思います。
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