第85回 字が汚いのはなぜ?

    後期になって、何人か6年生の新入生を迎えました。
    その中で、ある共通の特徴を見つけました。「字が汚い」。自分の書いた数字を読み間違えるほどです。
    「なぜ、もっとゆっくり書かないの?」
    「前、いた塾で、とにかく早く書けといわれたから。」
    「なぜ早く書かないといけないの?」
    「できる子が解いちゃうと、もう解説が始まっちゃうから。あっという間に黒板から解説は消されちゃうし。」
    「え、まだ書いてませんって言えばいいじゃん?」
    「そんなこと、いったら怒鳴られる!」
    と、まあ、何となくわかってきました。
    先生は、カリキュラムと当日解くべき問題を与えられている。上のクラスになればなるほど、ノルマは増えます。そうすると、子どもが、わかる、わからないに関わらず、次へ行く。だから、子どもたちはあわてる。急ぐ。スピードをとにかく求められているわけですね。
    ところが実際にノートはぐちゃぐちゃで、何が書いてあるか、わからない。復習主義という塾だそうですが、復習ができない。
    「ここでは、まず字をていねいに書かないと怒られるよ。」
    「え、そうなんですか?」
    「そう。試験の答案の字もきれいにかかないとだめ。だって、試験のときに先生に読んでもらえなかったらアウトだろ?この字は誰がどうみたって6だって、そういう字を書かなきゃ、だめだよ。」
    「でも、そうすると時間が・・・」
    「もちろん、早く解きたいという気持ちもわかるけど、それで間違えちゃ、合格しないんだぜ?どうする?」
    「はい、がんばります。」
    私は入試で必ず合格する子は「ていねいな子」だと思っています。だから、ていねいに解く、ていねいに勉強する、ということを大事にしたいと思うし、量をやるよりも1問しっかり考え抜くことが大事だと思うのです。
    カリキュラムをこなすということが目標ではなく、「子どもがわかる」ということが本来の目標でなければいけないと思うのですが。
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