塾を選ぶ場合、普通は大手の塾を選ぶのが一般的です。人数が多い塾は毎月クラス分けテストをしています(最近の塾はだいたい多いところで25名前後、大きい塾でも15名でクラスを編成するところが多くなっています)。このクラス分けテストは、毎月の履修状況を把握したうえで必要なレベルの授業をするために行われるのですが、同時にできる子どもたちを選抜していく仕組みでもあります。上位に残れば難関校への合格可能性が高まりますから、多くのご家庭がこの上位クラスをめざして毎月がんばることになります。
とはいえ、上位クラスに入れば安心というわけではありません。
全員の志望校を絞り込んでいるわけではないので、「どこでも対応できるようにする」というカリキュラムになっています。当然4年生、5年生では入試に必要な基礎力を学ぶことになるでしょうが、次第に応用、発展のレベルに入っていくと、受ける学校によっては「あまり必要ない」範囲の勉強まですることになります。その量に惑わされて、力がなかなかつかない場合があるのです。
毎月のテストで、クラスが分けられたり、席が決まったりということになると子どもたちのなかでもある序列が生まれていきます。偏差値もそうですが、ひとつの序列に過ぎないものが、まだ幼い子どもたちのなかでは「絶対的な価値」に見えてしまうことになる可能性があるのです(保護者の方でもそう思っておられる方が少なくないようにも思えますが)。
試験の結果ですから、毎月変わる可能性があり、担任がしっかり決まらないというデメリットもあります。そんな序列はたいした問題ではないと思えればよいのですが、やはり上位にいてほしいと思うのが親心ですからそれなりに親子でがんばってしまう。そして、「ずいぶんがんばったけど、もう疲れてしまった」ということになる可能性があるのです。
一方小さい地元の塾は、先生がていねいに子どもたちの面倒を見てくれるでしょうが、まず刺激が少ない。その塾で一番になったところでまだまだ上はいるわけですが、安心してしまうことがあるわけです。学校情報などはだいぶネットワークでとれるようになってきましたが、やはり出てくる資料集などは大手と比べればまだまだというところも多いでしょう。
どういう子がどういう塾に合うのか、親が考えていかなければいけません。
そこで、まずは公開テストを受けてみることをお勧めします。
最近はいろいろな塾が公開テストをやっていますから、その中から選んで受験してみるとよいでしょう。組分けテストにはデメリットもありますが、公開テストはそのときの子どもの力を測るうえで非常に役立ちます。
その結果として、偏差値60以上をとれるのであれば、どこの塾に行っても間違いない、なかなか力のあるお子さんですから、大手であろうと近くの中小塾であろうと大丈夫です。60未満の場合、子どもが人と競うことが好きであれば、大手にいってみると良いでしょう。刺激を受けて自分がひとつでも上のクラスに行ってやろうと思う気持ちを持つ子であれば、そういう環境がプラスになります。
しかし、あまりそういうことに関心がなかったり、やる気が表に出てこない子どもたちはむしろ少人数でていねいにみてもらうところが良いでしょう。また成績がまだ十分でない子どもたちも、小さい塾へいったほうが良いだろうと思います。むしろじっくり力をつけて、6年生の最後に抜きん出てくれればそれが一番効率の良い受験法だといえるのです。
受験をスタートさせるのは3年生、4年生いろいろ議論がありますが、私は4年生で十分だと思います。
4年生はどの塾でも本格的な受験勉強にはいる学年でしょう。しかし内容を見てみるとこの学年で履修する範囲は直接入試に出るものは少なく、やはり5・6年生の基礎を作る内容ということができるでしょう。したがってテスト向け細かい知識を覚えることよりは、むしろじっくり考えたり、ていねいに読んだりする力を鍛錬することが重要なのです。
たとえば国語に関しては、細かい漢字や文法を覚えるよりなるべく長文をじっくり読むようにしたいし、算数は分数や小数の計算をしっかり鍛錬することのほうが重要だと思うのです。単にカリキュラムにしたがってその内容ができるようになるというよりも、もっと学習の礎になるような力をマスターすることが望ましいのです。
4年生で週2回ぐらい、5年生から週3回くらいと塾へ通う回数を少しずつ増やしながら、自分で勉強するペースもしっかり作っていくことが大事です。
逆に低学年のうちはしっかり基礎学力をつけていきましょう。特に大事なのは計算力。これは早め早めに勉強していって、4年生ぐらいになったら分数や小数の計算も楽にできるようにしておきたいと思います。
この基礎学力がしっかりしていないと点数が取れないので、クラス分けのあるところでの勉強は苦痛になります。「まだ早い」とは考えず、少しずつ準備を進めていくのが良いのではないでしょうか。