偏差値表で第一志望を選んではいけない

各塾の偏差値表が手に入ったらぜひ並べてみてください。それぞれの塾で微妙に違います。数値のつけ方もそうですし、また並び方も微妙に違います。

当然、それぞれの塾が自塾の考え方にあわせて作っているのですが、やはり意図を感じる部分はあります。ある塾が妙にある学校を高くしていたりすれば、「ああ、この学校に自塾の生徒の目を向けたいのだな」と勘ぐってしまいます。

土台、その学校の合格偏差値が正確に計算できるはずもありません。試験ごとに受験する集団は微妙に違いますし、学校の出題傾向も模擬試験とは明らかに違うでしょう。記述式しか出ない学校の判定を記号式でやったところで、意味がないといえば、確かにそれまでなのです。

試験前はこういう話を聞いて、「それはそうだろうな」と思われる方が少なくないのですが、実際に入試直前や入試の渦中にある場合は、そんな余裕がなくなってしまいます。よくご相談を受けるのが「A中学は60でB中学が55ですから、やはりBにしたほうが受かりやすいですよね」という内容。私の答えは、Yesでもあり、Noでもあります。A中学とB中学では当然試験内容が違います。また受験する生徒も何が得意で何が不得意なのか違いがあります。だからB中学には入らないけど、A中学なら入るという場合も当然のことながらあるのです。偏差値5ポイントなんて模擬試験の点数にしたら10点ぐらい。算数で2問違えばもうひっくり返ってしまいます。そんなデータに一喜一憂しても仕方がないのです。

ですから、偏差値表で第一志望を選んではいけないのです。少なくとも第一志望については「成績を見ずに」選ぶ必要があります。むしろどんな学校で、子どもの資質を伸ばすのに良い学校なのか、そうでないのか。入試傾向は子どもの資質に合っているのか、そうでないのか。そういう点に注意を払って第一志望を選ぶべきです。

一方併願校を選ぶ場合は偏差値表を使ってください。たとえば55のお子さんなら、偏差値45の学校であれば確実に合格できるでしょう。そのランクの学校で第一志望と同じように子どもの資質を伸ばしてくれる学校、子どもの性格に合いそうな学校を選んでいけばいいのです。偏差値の1ポイントや2ポイントを気にしても仕方がありません。10ポイントぐらい、すぐひっくりかえってしまいます。

近年、第一志望の学校に第一次募集には落ちて、第二次募集で合格する生徒が見られます。第一次募集のほうが合格人数も多く、偏差値も低い。第二次募集のほうがうんと高いのです。その差は平気で10ポイントぐらいあります。でも、それをひっくり返すことができるのです。その子が特別だから? いいえ、そのくらい僅差で子どもたちが並んでいるからです。だから「これが最後」と気持ちを込めて受験すれば偏差値の10ポイントぐらいすぐひっくりかえってしまうのです。偏差値表は目安にとどめ、もっと学校の具体的な内容や出題傾向に目を向けてください。

そのためには、学習においてていねいさや正確さを身につけなければなりません。考える力や書く力はもちろんのことですが、自分が解ける問題を見つけて、それを正確に解き上げるという力がどうしても必要になってくるのです。ところが実際に受験するのは12歳の子どもたちです。ともすれば、勘違いをし、問題文を読み飛ばし、計算間違いをしてしまいます。いくらお父さん、お母さんが口すっぱく注意してもなかなか直りません。

ミスをするのは原因があります。その原因を取り除くためにどうすればいいのか、その具体的な方法を見つけてあげなければ、ミスは減らないのです。そういう意味で、子供たちにもっと具体的な注意を与えてあげることが重要でしょう。



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