第22回 進学校と大学受験

□先日、東大の前期の発表が行われました。公立高校もがんばっていますが、やはり私立の合格者が目立ちます。

□中学受験生が増えたのは、基本的には学校群制度がスタートでした。その後も「ゆとり教育」の問題で、少子化にもかかわらず受験生が増えてきました。昨今は公立一貫校もあり、公立高校の大学受験の奮闘もあるので、いろいろな選択肢が出てきたのではないかと思います。

□では、なぜ私立の方が大学受験の成績が良いのか?

□まず、中学受験で比較的早くから優秀な子どもを入れていること。で、それだけで学校があまり何もしないケースも多いのです。子どもが優秀である、ということは学校群前の日比谷にしてもそうですが、独特の文化を生みます。したがって、普段から勉強をガリガリやってはいない。クラブ活動をやったり、アイドルを追いかけたり、演劇をやったり、ゲームをやったり、もう本当に千差万別にいろいろなことをやっている。だからこういう学校の文化祭はおもしろいのです。それぞれが勝手に、しかし本気モードでやるから、プロ並みのものが出てくる。そのくらい才能が豊かなので、実際に受験勉強は自分たちでやる。塾に行く子もいるでしょうし、逆に一人で黙々と勉強する子もいる。もちろんしない子もいる。

□しない子はやはり入れませんが、いずれにしてもその自由な雰囲気の中で、子どもの自主性に任せている学校がほとんどでした。

□流れが変わってきたのは20年ほど前から。いわゆる新興校が出てきた。少子化や景気の循環で、一時私立に行く生徒が減少した時期があります。そのとき、危機感を募らせた学校は、生き残りをかけて大学受験の成果を上げるべく、学校改革に乗り出しました。大学受験の成果を残すためにいろいろな試みが行われた。シラバスの変更、校内模試のやり方、進学指導。また募集にも力を入れ、学校の宣伝活動も行われてきました。

□結果として新たな受験校がたくさん生まれ、それが公立校との差を生み、今の現状があるといってもいいかもしれません。自由なスクールカラーの学校は減少し、私が良く言う「管理型」の学校が増えています。

□管理型の特徴としては、6年一貫を利用してシラバスを前倒しにして高2で一応のカリキュラムを終える、ということができることです。残念ながら公立校の場合は、高校1年からやるのでそれができない。だからしばらくは私立優位の現状が続くでしょう。

□しかし、公立校もいろいろな試みをしています。公立一貫もそのひとつでしょう。ただ、私が懸念するのは、学校はやはり塾ではない、ということ。

□大学受験も大事だが、学校での活動もやはり大事でなければいけない。子どもの創造性というか、いろいろなことが自由に挑戦できる、という雰囲気は大事にしてもらいたいと思います。

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