考える力を養うために

算数の力をつけるのに、まず大事なのが計算力です。パズルでも良いし、そろばんも良い訓練になるかもしれません。ただ基礎学力をつけるのに反復練習が必要なので、楽しみながらできる方法をとると良いでしょう。この計算力をつけるのにはそれなりの時間がかかりますから、早めからスタートすると良いでしょう。

次に必要なのはじっくりと考える良問を勉強することです。ただ新しい範囲を勉強するときに、議論が分かれます。

例えばつるかめ算を習ったとき、ある程度反復練習する必要があるのではないか、という議論ですね。つるとかめが合わせて12匹いて足の数が40本。ではかめは何匹?という基本問題をいったい何問練習すればいいのか。私は2~3問やれば充分だろうと思っていますが、実際の現場では2~3問やって定着する子は少ない。できる子はそれこそ1~2問でマスターするが、そうでない子は逆にできないからやりかただけを覚えることになる。
「えーっと、2×12=24 で 40-24=16 16÷2=8と。出た。あれ、何が出たんだっけ。」
何問か繰り返しますが、その時間中にマスターできない子もいます。
だから繰り返し反復練習をさせる。計算と同じように。確かにこのやり方をやっている塾が多いでしょう。ただ、やっている子どもたちは?明らかに算数はきらいになってくるでしょう。

算数は考えるから、おもしろい。おもしろいから続くのです。計算力がパズルでつくというのもその点から考えられたアイデアだと思います。解きたい、克服したいから考える、考えるからできるようになるのです。

つるかめ算についていえば、全部をつると考える、あるいは全部をかめと考えるという考え方が身につくかということが大事なのです。例題でいえば全部つるとすると足は24本。ところが足は40本あるから、差は16本。つる一羽をかめ一匹に変えると足は2本ふえるので16÷2=8でかめが8匹になる。という論理が考えられるかどうかが重要なのです。

そのために面積図を描く、式を書くということが大事です。

湘ゼミエルフィーSGの岩槻がポイントを指摘していますが、例えば問題を解くときにすぐ手をつけずにじっくりと観察するという過程が必要です。彼は計算問題で指摘していますが、つるかめ算で式を書いていくときにも、この式の意味は何かを考えてやるのと、次にこうすると公式のように解いていくのでは、当然応用力に差が出てきます。

しかし毎週のテストがある。結果を出せる子と結果を出せない子がいる。だから結果が出る子は毎週のテストでいいし、出せないのなら月例でもあるいは3ヶ月に1回でもいいかもしれない。その子が充分に納得できる時間的ペースを考えていく必要があり、その時間的余裕がなければその子なりに考える力はつかないように思います。

6年生になれば、当然入試を意識して毎週チェックしていくに越したことはないのです。でもそれが難しい場合は、やはりやり方を考えていく必要があります。そのチェックペースはその子の持っているリズムです。リズムが合わないと、力は出ない。最終的には入試に向けての力がついているかということになるでしょう。

じっくり考える力、粘り強く考える力を育てることが実は入試に向かう意味で重要なことなのです。全てのパターンを網羅することはできません。その場、その場で対応できる力にしないといけないのです。だから、あまりに多くの反復練習はその子のやる気を失わせることになるから、注意が必要です。

6年生のみなさんへ

算数で式を書いていますか?
入試では解き方を説明する以外、答えさえ書けばいいから式を書かない生徒が多いのですが、これがミスを生んでいることに気がついていますか?

計算問題も、一行問題もその式を書くことで、観察し、もっとも簡単なやり方を見つけることができるのです。すぐ鉛筆を動かすのではなく、じっくりと見て、式を考えてみてください。残り10日、練習してみるとミスの出現率が絶対減少しますから、ぜひやってみてください。

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