月例・組み分けテストを受けないという選択肢

大手の塾に行けば、毎月のカリキュラムは決まっているし、それに合わせて月例テストが行われる。名前はいろいろでしょうが、月1回。それで順位が決まり、クラスが決まり、席が決まるでしょう。

で、これは避けられない。必ず受けるようになっています。2回続けて受けないと、クラス落ちが自動的にされる。だからみなさん受けるわけですが、しかし、成績が上がらないと毎月、「だめだー」「だめだー」と言われ続けるようなものだから、子どもたちの自信ができないし、やる気もおきない。

それが長期にわたってくると、親も子も疲れ果ててくることになるのです。

中学受験は長年、『競争のプラットフォーム』の上で行われてきました。最初はテスト会。テスト会は、毎週テストだけをやります。自分で勉強してくる、そして日曜日にはテストを受けて、その出来を競う。偏差値などという言葉が生まれたのはずいぶん後の話だったと思いますが、日本進学教室とか四谷大塚進学教室、というテスト会が生徒を集めていました。しかし、やがてこのプラットフォームは塾の中に組み込まれるようになります。塾の中でカリキュラムを勉強し、塾の中で競争する。塾としてはなるべく競争が厳しくなる方が良いので、教室を展開し、生徒を集める。そしてその中で競争する。これが現状のシステムでしょう。

成績が上位であれば、気分もいいし、次に向かってがんばろうという気にもなるが、実はこのシステムは勝者のためのシステムです。勝者には学校別も優秀な先生も手厚いフォローも出てくるが、そうでなければみんな同じフォローで終わってしまう。

で、このプラットフォームにいないと受験にならない、と考えている方が多いのではないかと思うのです。確かにそれは一理ある。うまくいけば、こんなに大事にされることはありませんから。中には月謝まで免除してくれる塾がありますからね。

しかし、うまくいかないとなると、これは大変になるわけです。で、そういうときに撤退してしまう、という選択肢が本当はほしい。しばらく、月例も組み分けも結構。自分で自分なりにやり直してみる。そんな時間が本当はほしい。しかし、システムは許しません。塾をやめるしかなくなる。しかし、それでいいのか不安になるから、親も子もつい続けてしまう。でも結果がなかなか良くならないのです。

私はそういう場合は塾をやめて、まず自分で家でできることから始めた方が良いと思います。すでに洪水のごとく「やらなければいけない」ことを与えられてうんざりしているはずです。だったら、「やらなくていいこと」を決めてしまう。そしてこれだけはやってまず「成果を出す」ことです。別にテストなんか受けなくても成果はわかります。まとめの問題のところで10題中8題できれば、それはわかった、ということになるでしょうから。

成績が悪い期間があまり長くならないうちに、次の方法を考えてあげた方が良いでしょう。「なかなか入れない塾に入れたのだから」と思っておられる方がいたとしたら、それは大きな間違い。「むしろ合わない塾に入ってしまって失敗を積み重ねている」だけなのです。

子どもは自信ができ、やる気になれば伸びます。しかし、自信がないうちは勉強にも意欲がわかないし、がんばらない。だから、しんどくなってしまうのです。どこかでこの悪循環をたたき切る必要があります。そのために一度撤退する、ということは充分にありだと思うのです。

塾をやめること=中学受験をやめること

ではありません。

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