第29回 親が教える効果

■夏休みも今日で終わりですね。この夏休みにお母さんやお父さんがお子さんの勉強をみられた方も多かったのではないかと思います。いかがでしたか?

■親が教えるとき、一番難しいのは距離感です。他人が教えるときはそこそこに遠慮があるので、教えたことがわからなくても「じゃ、もう一度やってみよう」ということになるのですが、親だともっと距離が近いものですから「ちょっと、ちゃんと聞いてた?」という感じでものをいってしまい、言われた子どものほうもムッとして、「お母さんとは勉強しない!」なんて始まってしまうものです。

■ただ、私は最近、お父さんやお母さんが教えることは実はとても大事なことではないかと思えるようになってきました。中学生や高校生になると、子どもたちと勉強することはもうあまり、ないでしょう。ある意味、これが最後のチャンスなのです。何人もの方がお子さんの中学受験の経験を出版していらっしゃいますが、多分、とても楽しい経験だったからではないかと思うのです。

■教える側と教わる側が同じ目標を持って努力するという場面はなかなかありません。そういう意味で、お父さんやお母さんが勉強を見てあげるのはきっと良い経験だと思うのです。それに子どもたちがやっている勉強をいっしょに勉強してみると、結構大変なことをやってるんだなということもわかってきて、子どもたちの気持ちもわかるようになります。きっと子どもたちは、そんなお父さんやお母さんともっと話をしたくなるでしょう。

■いっしょに勉強するときのコツは、「ほめる言葉を多くする」ということです。親にはこれが難しいのです。「ほめるとのぼせるから」というのがその理由ですが、ほめられればそれだけ子どもが積極的になるのですから、良いのです。むしろどんどんほめて、どんどん積極的にしてあげるべきではないでしょうか。

■むしろ子どもに対してきつい言葉をいうのは親が子どもに甘えているのです。きつい言葉をいっても「親子だから」というただそれだけの理由で許されてしまうと感じがちです。教えるときはその自戒をしっかり持って、子どもたちと楽しい時間を過ごしてください。
(平成14年9月1日)

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