第35回 自学自習のくせ

■先日、あるテスト塾の責任者の方とお話をしたとき、最近の子どもたちは自学自習のくせがつかなくなっているのではないかという話になりました。今は塾や個別指導、家庭教師などいろいろな教育サービスがあり、そこでまるがかえしてもらった方が親は楽です。ですから塾の方でも週4日、5日と通塾する日が多くなってきているのですが、その裏返しで子どもが自分で自分の問題を解決する力がだんだん減ってきているのではないかという気がしているのです。

■中学入学後も勉強は続きます。したがって学校で習ったことを自分で復習したり、あるいは予習したりして、その中から自分がわからないことを調べたり、質問したりして解決する能力はどうしても必要です。しかし、小学校のころに手取り足取りしてもらうと、自分で自分の勉強のやり方を作れないまま、中学校に進学し、そのせいで中学の成績がふるわない子が少なくありません。

■どこがわからないのか、これは自分で考えてみないとわかりませんし、そういう苦労を繰り返すことによって、自分で自分の問題を発見し、解決する能力が培われてきます。ですから、たとえ親が楽であったとしても、過度の通塾は後々問題を残す可能性があるのです。せっかく私立に入っても、また塾通いになったりするのは、あまり良い方向性ではありません。

■私はやはり受験を通じて、自学自習のくせをつけることが重要だと思います。特に受験勉強は効率的に進めなければいけないのですから、自分のできることを塾でやってもらっても効率が悪いのです。自分のわからないことは、どこだということを自分で発見し、積極的に質問したり、参考書を調べたりすることができるようになれば、自然、成績も上がってくるし、時間の使い方も上手になってきます。

■特に6年生はこの時期、通塾が多くなっているのではないでしょうか。しかし、本当に効率的に子どもたちの問題を解決できているのかというと多少疑問を感じざるをえません。むしろ、この時期、しっかり自分の机に向かって、過去問に取り組み、その中から自分の不得意分野をとりあげて、参考書や問題集で集中的にマスターすることが大事です。それを怠って単純に塾に通わせていても、成績は上がらない場合があるので、注意が必要です。

■よくお話することですが、与えられると自分で得る努力をしなくなるものです。ですから、子どもに対して与え方は十分に気を使わなければならないのです。
(平成14年10月12日)

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