酸化銅の問題

2011年吉祥女子の問題です。


祥子さんは、酸化鉄から鉄をつくる方法があることを知り、調べました。
【調べたこと】
 日本には古来から、「たたら製鉄」という鉄の製法がある。これは、酸化鉄を多く含む砂鉄から純度の高い鉄をつくる方法である。その手順を1~4に示した。

1 図1のような炉の中に、木炭と砂鉄を積み重ね、送風口から空気を送りながら木炭を燃焼させる。
2 それでも炉の内部は空気が不足するため、木炭は不完全燃焼して気体Aが発生する。
3 砂鉄に多く含まれる酸化鉄に、気体Aが高温でふれると鉄ができる。このとき、二酸化炭素も発生する。
4 最後に、炉をこわして底にたまった鉄を取り出す。

図1

(1)気体Aの名前を漢字で答えなさい。

(2)気体Aについて説明した文として正しいものを次のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。

 ア 空気より軽く、水によくとけてアルカリ性を示す。
 イ 無色でにおいはなく、有毒である。
 ウ チョークの粉に酢を加えると発生する。
 エ 可燃性なので家庭用燃料に用いられる。

(3)鉄と砂鉄に共通する性質としてもっとも適当なものを次のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。

  ア 黒色や赤色のものがある。
  イ 電流をよく流す。
  ウ うすい塩酸を加えると酸素が発生する。
  エ 磁石につく。

次に、祥子さんは酸化銅から鋼をつくる実験をしました。
[実験]
(1) 黒色の酸化銅の粉末4.0g と乾燥した黒色の木炭の粉末0.1gをよく混ぜ、試験管に入れた。
(2) (1)の試験管をガスバーナーで十分に加熱した後、試験管が冷めてから試験管内に残った固体の様子を観察し、その重さを測定した。
(3) 酸化銅の重さは変えずに、木炭の重さを0.2g,0.3g,0.4g,0.5g と変えて、(1)、(2)の操作を行った。
[結果]
・試験管内を加熱したところ、二酸化炭素が発生した。
・加熱後に試験管内に残った固体の様子を、次の表にまとめた。

・木炭の重さと加熱後に試験管内に残った固体の重さの関係を次の図2に表した。
図2

(4) 加熱後に試験管内に残った黒色の固体について説明した文として適当なものを、次のア~カから二つ選び、記号で答えなさい。

ア 木炭の重さが0.2gのとき、酸化銅と木炭の両方が残っている。
イ 木炭の重さが0.2gのとき、酸化銅のみが残っている。
ウ 木炭の重さが0.2gのとき、木炭のみが残っている。
エ 木炭の重さが0.4gのとき、酸化銅と木炭の両方が残っている。
オ 木炭の重さが0.4gのとき、酸化銅のみが残っている。
カ 木炭の重さが0.4gのとき、木炭のみが残っている。

(5) 用いた木炭の重さが0.3gのとき、発生した二酸化炭素の重さは何gですか。
(6) 用いた木炭の重さが0.15gのとき、試験管内に残った赤色の銅の重さは何gですか。
(7) 用いた木炭の重さが0.45gのとき、試験管内に残った黒色の固体の重さは何gですか。
(8) 銅を12gつくるために必要な酸化銅の重さは、少なくとも何gですか。また、このとき必要な木炭の重さは、少なくとも何gですか。


まず「たたら鉄」ですが、不完全燃焼を起こすことで、一酸化炭素が発生します。この一酸化炭素は二酸化炭素になるために、酸素を吸収しようとする性質を持っているので、酸化鉄の酸素を奪います。
その結果として純度の高い鉄ができることになります。
したがって(1)は一酸化炭素。
(2)一酸化炭素は有毒な気体ですから、イ
(3)鉄と砂鉄の共通な性質は、磁石につくことですからエ

となります。次に今度は酸化銅から銅を取り出す実験ですが、これも原理は同じで、一酸化炭素を発生させて、酸化銅から酸素を奪います。

(4)木炭の重さが0.3gのとき、ちょうどすべての酸化銅が銅に変わります。ということは酸化銅はそれ以降は残っていないので、黒色の固体は木炭になります。
したがって0.2gのときは酸化銅だけが残っていることになり、0.4gのときは木炭しか残っていませんから、イとカが正しくなります。

(5)用意した酸化銅は4.0gで木炭が0.3g 残った酸化銅が3.2gですから、4.0+0.3-3.2=1.1gがなくなっています。これができた二酸化炭素の量であることがわかります。

(6)木炭の重さが0.3gの半分ですから、できあがった銅も半分になるので、3.2÷2=1.6gになります。

(7)図2のグラフから(3.4-3.2)÷4×3=0.15gが残った木炭の重さになります。

(8)酸化銅4.0g 木炭0.3g 銅3.2gの比例関係を使います。
12÷3.2=3.75倍ですから、
酸化銅は4.0×3.75=15g
木炭は0.3×3.75=1.125g
が必要になります。

「映像教材、これでわかる水溶液」(田中貴)

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