第41回 敬語

■最近、ちょっと気になっていることがあります。テレビで若いタレントさんが自分の親のことを「うちのお父さんに怒られました。」とか「お母さんに教えてもらいました。」とか言っているのです。違和感を感じられますか?本来は「父に怒られました。」「母に教わりました。」が正しいのです。

■面接の時、例えばこんな質問が出たとします。「何が好きですか?」「将棋です。」「将棋はだれとするのかな?」「お父さんとやります。」多分、子どもの多くはこう答えるのではないでしょうか。「父とします。」が正しいのですが、まして「祖父」ということばはでてこないでしょう。「おじいちゃん」と答えてしまうかもしれませんね。

■面接時のことばつかいは、現実の問題として今の家庭をそのまま映し出します。今から「父に教わりました」とか「母といっしょに来ました」とか、言えるようにするのは大変でしょう。かえってそこに気を使ってあがってしまうかもしれませんね。

■だから逆に面接で「父が」とか「祖母が」という言い方ができると目立つかもしれません。いや、それほど今は敬語の使い方がなっていないのです。国語で敬語の問題がたとえできたとしても、面接で使えなければ意味がないのです。まして学校の先生の行動について、敬語で話せる子はいないだろうなあと思います。「先生が教えてくださいました。」うーん、皆無に近いかもしれませんね。

■さて、まもなく入学試験。いまさら、あわてても仕方がないでしょう。ことばを直すということは結構難しいのです。塾で面接の特訓をすることがあります。教室への入り方、座り方、話し方、いろいろ練習するのですが、ことばはなかなか直りません。

■もし間に合うのならば、「父」「母」という言い方だけはマスターさせると良いでしょう。さすがに面接でぶっきらぼうな言い方をする子はいませんから、「父が言ってた」などとはいわないでしょう。「お父さんが言ってました」という言い方になるはずで、これを「父が言ってました」にすれば、ちょっと印象が良くなります。

■ことばはどんどん変わっていきますから、やがて敬語という言い方もなくなっていくかもしれません。しかし、そういうことばを家庭が大事にすると、子どもの育ちはやはり良くなるのではないでしょうか。ちょっとした気遣いが長い時間で大きな差になるので、やはり家庭が注意していかなければならないことだと思います。

(平成17年1月21日)

 

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