■四谷大塚入試情報センターから2005年入試資料が公開されました。
■今年の入試もなかなかの激戦だったようです。首都圏では今年の6年生が約29万人。昨年よりも3000人ほど減少しましたが、受験生は44700人と過去最高を記録し、受験率は15.4%まで上昇したことになります。ところがこれには公立一貫校の受験生が入っておらず、これを加えると合計46800人となり受験率は16.1%ということになりますから、かなりの生徒が中学受験をしたことになります。
■四谷大塚の対象校で東京都の応募者数が7.2%増であったのに対し、埼玉県が16.9%増、神奈川県が2%増、千葉が2%増ですから埼玉県の受験者数が伸びたことになります。東京への通学が便利になったことに加え、埼玉の私学が増えてきており、今、埼玉の入試も難しくなってきました。
■偏差値別出願状況でみると男子の場合、60以上65未満の出願者が増、55以上60未満が減、50以上55未満が増、45以上50未満が減になっていることから、若干強気受験が後退した印象を受けますが、それでも50以上の学校に全体の63.4%の生徒が出願していることを考えると、上位校の入試が厳しかったことがわかります。実際に50以上55未満の増加は著しかったので、志望を下げた割になかなか入らなかったというのが実情ではないでしょうか。
■特に1日校を下げた人が多かったようですが、これは1月校が合格者数を絞ったことにも原因があるようです。1月である程度合格を確保して2月に向かおうとしていた受験生にブレーキがかかったのではないでしょうか。1月校の中には昨年大幅に合格者を出したものの、受け入れに苦慮した学校がありました。それで今年は合格者を絞った発表になったのでしょう。これは今まで1月の学校が試し受験であったものから、実質的に進学を考慮した受験に変わってきていると考えられます。
■一方灘の試験が1月22,23日に行われた影響で、今年は関西から開成をはじめとする上位校に塾のツアーでやってきた受験生が多かったようです。結果として大量の補欠繰上りが生じています。開成に一極集中という感じですが、昨年353名だった合格者の発表が今年は382名になっており、さらに70名程度の繰上げがでています。この結果として他の学校の繰り上がりも多くなったようで、入学者確定まで今年は時間がかかっています。
■複数回入試を行った学校では、学習院、立教池袋、学習院女子などは人気が集まったようです。しかし、人気校が複数回の入試を行うことは、心理的に強気に受験する傾向に拍車をかけるケースがあります。その意味では、確実に抑えるべきところを抑える戦略がさらに必要になったと感じられる入試であったかもしれません。
(平成17年3月7日)