第21回 スランプ

■秋になると6年生にスランプに陥る生徒が出てきます。今までできていた問題ができなくなる、成績が急降下する、一生懸命勉強しているのに成績が上がらない、などなど。停滞期に入ったともいえるでしょうが、入試が近づいてくるので親としてはどうしてもあせり気味になります。

■スランプの原因の大半は精神的な問題です。残り半年になって、入試に対する意識がはっきりしてきます。子どもたちが「落ちたらどうしよう」を考えるようになるのは、このころが最初です。結果を気にせず、今できることを確実に行うことが大事なのですが、模擬試験の結果も気になって、なかなか勉強がはかどらなくなります。

■さらに今までできていた問題まで間違えるようになると、これはちょっと気をつけなければならないでしょう。多くはミスで、後でやりなおせばできるという程度のものですが、それでもテスト会場で間違えるというのは、当然、本人が持っている力がでなくなっているいってもいいでしょう。

■子どもたちにはよく話していましたが、培った力はそう簡単になくなるものではないのです。ですから平常心にもどって、やるべきことをきちんとやればいいのです。では、どうすれば平常心にもどせるのでしょうか。ひとつは、心配は結果がでるまで消えないことを知ることです。ですから、心配はしない、工夫だけすればいいということを子どもたちにわかってもらうことです。これはいろいろな機会に話してあげるといいでしょう。しかし、一番はお母さんが慌てないことです。お母さんが慌てれば子どもはさらに自信を失いかねないのです。まずはどーんと構えてください。中学受験で子どもの人生は決まりません。そう思って口角をあげて、微笑んでください。

■勉強では自信を取り戻してあげることが大事です。私はよく、やさしい問題をさせていました。できたら「なんだ、できるじゃないか」、できなければもう一度やり直させてできることを確認します。今までがんばった力はどこにも行きはしないのです。慌ててたくさん勉強させたりすると、かえって疲れてしまい、さらに力が出なくなり、自信をなくします。できることを確実に、ぜひ心に刻んで子どもたちに接してあげてください。

(田中 貴)

(2005年9月11日)

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