■新年度に向けて子どもたちが塾にやってきています。ただ、多くの子どもたちは塾に行かされている状態ではないでしょうか。「~ちゃんも行っているから、私も行く」と言い出した子どもたちも少なくありません。いずれにしても、勉強をしようとか、中学に合格しようとかいう動機はあまり見当たりません。
■こういう子どもたちに以前にもまして早くなり、分量も多くなったカリキュラムをやらせていくと、当然のことながらオーバーフローがおこります。1週間の勉強が終わらない、宿題もできない、成績も上がらない、という状況は普通におこります。
■お母さんとすれば、何とかしなければ、という気持ちになるのは当然でしょう。「勉強しなさい」と半ば怒りながら、子どもの横について勉強させようとするお母さんは少なくありません。しかし、土台まだモチベーションができていない子どもたちにとっては苦痛以外の何ものでもないのです。
■「そんなにやらないのなら、塾なんかやめてしまいなさい」といえば、多くの子どもたちは「やめない」というでしょう。だって子どもたちはお母さんがそんなことを望んでいないのは百も承知だからです。でも、勉強はなかなかできないでしょう。「頭の中ではわかっていても実際の行動に移せない」これはやはり子どもたちが幼いからです。
■私は4、5年生のうちは、とにかく楽しく勉強してもらうこと、基本をていねいに勉強し、今できることだけに集中してもらっています。高校受験や大学受験と違い、子どもたちは夜遅くまで勉強することはできません。その分受験準備が長くなっているわけですが、一方で最初からやりすぎてしまうと、勉強することがいやになってしまうことが少なくないからです。
■5年生の後半ぐらいから志望校がだんだん絞られてきて、ようやく子どもたちの動機ができ始めてきます。だからといって、本気で勉強し始めるのは6年生の後半であることがほとんど。ただ、この時期はさすがにみんな真剣ですから、それなりに伸びていくものです。伸ばすべきときに伸ばす、このことをしっかり頭の中に入れて、4・5年生のうちは結果をあせることなく、なるべく楽しく勉強できるように心がけてください。
(田中 貴)
(2005年12月14日)