第45回 音読をさせてみる 

■最近、お子さんが文章を音読するのを聞かれたことがありますか?もしなければ、ぜひ読んでもらってください。文章の音読は実は子どもたちの読解力を端的にあらわす指標なのです。たどたどしい音読をする子は、十分に文章の意味をつかめていないでしょう。多くのことばがわからないために、意味を理解できないのです。

■子どもは自分の言語体系を耳から作っていきます。ことばを耳から覚えていくわけですね。最初は、お母さんや兄弟の会話に接してだんだんことばを覚えていきます。だから方言も伝わっていくわけで、これはある意味口移しで伝わってきているわけです。

■小さいときに絵本の読み聞かせをしてあげることも非常に重要です。ここでお母さんの声で子どもにことばが伝えられるので、子どもは語彙を広げることができるのです。ところが最近の子どもたちはテレビから語彙を広げています。子どもたちの会話とバラエティ番組の出演者の会話を比べてみてください。結構似てきているはずだと思います。

■ところが子どもたちが読む文章の語調や語彙は、テレビのそれとは違います。したがって「僕敵には、すてきだと思いますけど」という表現はわかっても「偉業としてたたえられています」という表現はわからないということになるのです。ではどうすればいいでしょうか。私は横からどんどん教えてあげてほしいと思います。「偉業はね。立派な仕事っていう意味ね」そしてその文章の意味をしっかりとらえてから問題を解かせてあげてください。そうすると、理解はかなり良くなるでしょう。

■とはいっても、すぐ力がつくわけではありません。ですから、毎週国語をやる時間を決めて、まず子どもに文章を音読させ、その横からことばの意味をどんどん教えていってあげてください。この積み重ねで国語ばかりでなく、算数や理科社会の問題文の意味をしっかり理解できるようになるでしょう

(田中 貴)

(2006年3月19日)

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