第77回 一貫校の進学指導体制

■ 6年一貫校のメリットはやはり6年という長いスパンでカリキュラムを作れることにあります。大学受験を見据えて、中学2年までに中学の課程を終えて、その後1年ずつ早めて高2ですべての課程を終えて、最後の1年を大学受験に向ける、という学校もあれば、集中的に例えば数学だけ全部の範囲をやってしまう、というようなカリキュラムを組む学校もあります。

■ この指導の考え方は大きく2つに分かれます。1つは学校が全体のカリキュラムを作ってしまい、それに合わせて教員が授業を行うパターン。もう一つはカリキュラムを教員それぞれに任せる場合です。一般に後者は大学のやり方であり、前者は塾のやり方である、と言えるかもしれません。以前、予備校で話を聞いたときも、これと似たようなところがあって、予備校全体でカリキュラムを定めて講師に役割分担を持たせ、そのカリキュラムを指導させる予備校と、テキスト作りから講師に任せてしまう予備校がありました。

■ 後者の場合、講師の間で話し合うことがほとんどないので、重複する内容もあるし、逆に抜けおちる場合もあり得ます。が、一方でひとつの内容の深みがあるのでどちらかといえば今まではこのやり方の方が多かったでしょう。しかし、近年は学校自体がカリキュラムを定めて、講師はそのカリキュラムに従う、というところも増えてきているようです。

■ 学校の場合もこの傾向に沿っていて、学校がカリキュラム全体をコントロールするようになってきています。私はこれらの学校を、管理型と言っていますが、この結果として学問的な深みがなくなってくる場合もあり得る。つまりカリキュラム全体をコントロールするということは、成績管理も全体で行われるために、一定の成績を取ることが最も重要で、そこに興味を持ってさらに深く勉強する、ということはなかなか難しい。確かに大学受験には有利な部分があるが、一方で自分の専門を決めて勉強するというような余裕はなくなってしまいます。

■ だから、かたくなにカリキュラムを教員に任せることを貫いている学校もあるわけで、こういう学校が放任型になります。しかし、これらの学校の中にも大学受験で好成績を上げている学校が多いのです。もちろん、学生が優秀だということもあるのですが、やはり自分が納得して、自分で勉強するスタイルを貫かないと、先先学生自身が大学に入った後に伸びない、という考えがあるからでしょう。

■ この辺は、学校選びの中で結構悩むところではあるのです。大学受験の下振れで考えると、明らかに管理型の方が下振れは少ない。が、逆に上振れも少ない、という面があるので、できるならば「放任型」を選んだ方が良い、と私は思っています。

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