第22回 スクールカラーについて

よく私はスクールカラーについて、管理型と放任型という分け方をします。ひとつには大学受験に対する取り組みをあらわしていて、学校側が主導して塾のように生徒の成績管理と進路指導をする学校と、生徒にまかせてしまう学校に分かれます。ただ、一番大きな差は、やはり生徒が今後の進路をどう決めていくかにあたって、学校の生徒に対する関わり方ではないでしょうか。

子どもたちの将来が白いカンバスだったとして、放任型の学校というのは、生徒を信頼し、自分で好きなように描くことを待っているということだと思うのです。描ける、描けないという能力論ではなく、その可能性を大事にしている。だからいろいろな経験ができる機会は与えるけれども、最終的にそれを描くのは君たちだよと任せているところが大きいでしょう。

一方、慶應や早稲田のような大学付属校は自分の大学に進むという前提があるので、そのカンバスが本当の意味では白くない。それぞれの学校のコミュニティーの中で育っていくこと自体がすでに色がついている部分があるでしょう。早稲田であればエンジ色かもしれません。つまり早稲田のOB、教員、そういう中で育っていくことが前提だから、何になろうと、どういう道であろうとも早稲田であるということに変わりがない部分があります。その分、子どもたちはただ真っ白なカンバスに向かうよりは選択肢が絞られるわけです。絞られるから書きやすいという面があるし、その分可能性を限定されるという面もあるでしょう。

では、管理型の受験校はどうなるのかというと、カンバスは白いのです。ただ、良く見ると点線が入っているのです。例えばエンジニアになるとすれば、こういう風なのはどうかという点線が入っている。良くわからなければ、その点線通りに絵を描くことができる。色はいろいろ使えるでしょうが、形はまあ、似ている。でも、外から見ている分には、ああ、なかなか良く描けているねえということになるかもしれない。ということなのではないでしょうか。

本来18歳までに真っ白なカンバスに絵を描くということはなかなか大変なことです。だから途中で白い絵の具を使って全部白くぬりつぶして、それからまた描き始めるということはよくあることです。でもどこかでやはり描きはじめなければならない。それをどうやって描けるようにするか、ということの方法論が、学校のもつ教育観、人間観から生まれてきていると思います。

で、保護者のみなさんはどちらかというと大学受験の実績の方に注目されるかもしれませんが、本来はこういう点に着目して学校を考えてほしいと思うのです。現在は3番目の点線の入ったカンバスに人気があるように思われるのですが、子どもによっては点線を使うことがいやな子もいるので、子どもの性格とスクールカラーの相性は非常に大事なのです。

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