第2回 長期的なビジョン

中学受験を組み立てていく中で、大事なのは長期的なビジョンです。

最近は最初のお子さんである場合が多いので、この先どうなるのか?ということがわかりにくいと思いますので、簡単にまとめてみましょう。

  • 3・4年生→算数と国語の基礎力を固める
  • 5年生→4教科の勉強を開始。あまり難しいことはやらない。細かい知識は覚えない。そのかわり確実にカリキュラムを進めていく。平行して第一志望の選定。
  • 6年生→第一志望の学校別傾向に併せて学習を絞り込む。併願校についての対策は不要。むしろ徹底的に第一志望に狙いを定める。
  • というのです。

      まず3・4年生では学校の勉強から中学受験の勉強に切り替わります。以前ですと学校でも十分に計算の練習をしていましたが、今は進行も遅くまた練習量も不十分です。その結果、5年生になって分数や小数を扱う段になって、その計算力不足が露呈してしまうのです。ですから、いたずらに勉強範囲を広げるのではなく、確実に計算力を養う時期にすべきでしょう。
      5年生で4教科をスタートさせます。ここから学習する範囲が入学試験には出題されます。ただ、あまり難しい範囲までは勉強しない。ここであまり難しいことをやっても、まだ空回りする可能性があるのと、実際に受験する学校によってはいらないという範囲もでてくるからです。むしろ広く浅く学習する。そして基礎はしっかり固めるという感じがいいでしょう。理社の細かい知識も覚える必要はありません。どうせ、忘れますから。ただ勉強をしていきながら、興味は広がってほしいと思います。たとえば歴史の本を読むとか、理科の実験をしてみるとか、そういう勉強を中心にしましょう。
      親の方は、子どもたちの進行状況をみながら、どこを第一志望にするか、候補を考えてください。5年生の秋に、学校の説明会には行くべきです。6年生はもう絞り込んだ後ですから、受ける学校だけ聞きにいけばいい。むしろ5年の段階でいろいろな情報を集め、子どもに合う学校を選んでください。これは親の大事な仕事です。
      6年になったら、第一志望に向けての学習を開始します。塾に行くと、これが遅いのです。いろいろな学校を前提として組み立てるから致し方ない部分はありますが、しかし、学校でいえば4年分ぐらいの勉強を一気にするのですから、省けるところはどんどん省くのがいい。たとえば算数の問題を見ていて8題以上、答えの数で12問以上出る学校というのは、あまり難しい問題は必要ありません。というのも例えば45分で解答数が12とすると1解答あたり4分ありません。ということは、そんなに時間がかけられないのだから難しい問題はでないでしょう。逆に5問以下である場合は、これは1問あたり10分近くかかるので、じっくり考える勉強に特化していく必要があるわけです。国語についても記述が必要であれば、その練習をしないといけないでしょう。つまり6年生の春からは、第一志望にある程度特化した学習の優先順位を組み立てていくことが必要なのです。
      ただ第一志望が決まってしまえば、傾向もはっきりするわけだから、対策はきわめて具体的になるでしょう。
      という話をしますと、「先生、併願校の対策は?」ということになってきます。東京、神奈川の場合ですが、最近は受験日程が絞られてきているので本気で受ける学校は1校か2校でしょう。滑り止めは、確実に合格する学校を親が選べばいいので、対策は不要です。となれば、第一志望と第二志望を考えればいいでしょう。そのうち夏休み前までは第一志望中心でいいのではないでしょうか。で、第一志望と第二志望の傾向が違っていれば、第二については夏休み以降勉強に加えていきましょう。ただ、やはり中心は第一志望の学校に併せていくのがいいと思います。

    そうすると大分やる勉強が絞れてくるでしょう。

      塾にいくタイミングは4年3学期。それまでにしっかりとした基礎力をつけていれば、何の問題もありません。
      で5年のうちは週1回か週2回。まだ習い事は続けられるペースでいいと思います。3・4年生のうちから、自宅で勉強するくせがついていれば、それでも十分に受験準備はできるでしょう。

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