力をつけるためには勉強しなければなりません。これは当たり前の話。ただ勉強するにもイヤイヤやるのと積極的に取り組むのでは同じ時間やっていてもだいぶ結果が違います。
子どもたちは基本的に「問題を解きたい」「わからないことをわかるようにしたい」という自然な欲望を持っています。私の算数の授業でよく「ヨーイドン問題」というのをやりますが、これはできる順番を争う競技です。ホワイトボードに問題を書いて、ひとつ条件を隠します。これがスタート。全員がノートに問題を書き終わったところでスタートの条件を書き加え、子どもたちがいっせいに解きはじめます。できた子は手をあげてマルをつける、間違えたらもう一回。その順位を競うのですが、みんな熱中してやります。気持ちが前向きになっていると、あっという間に勉強が進むし、力もつくわけですが、そういう気持ちを上手に引き出さないと、なかなか前向きに受験勉強に取り組むことができないのです。
受験勉強を続けるためには当然、遊びをガマンしなければならない場面もありますし、つらいことも多いでしょう。しかし、それを何とか楽しいと思えるように変えていくことで勉強は進むのです。努力する、がんばる、そういう精神論がよくいわれますが、もっとシンプルに、子どもたちの「成長したい!」という欲望を上手に引き出していくことが大事になるのです。
そのためには、常に前向きな言葉、肯定的な言葉をつかって子どもたちのやる気を引き出していかなければなりません。
我が家の子どもたちの話をしましょう。
二人とも中学受験をし、それぞれ志望の学校に合格しました。私は仕事柄、子どもたちにも中学を受けさせるだろうと思っていましたから、早くから準備を始めました。幼稚園の年長からうちの塾にいれていたのです。
とはいっても週一回、90分ぐらいのものです。早くから字を覚え、算数の基礎的な力をつけるためでした。なぜ、そんなに早く始めたのかといえば、スタートがいっしょなのはここだけだからです。進学塾のカリキュラムは当然学校よりも早くなります。ですから例えば3年生で入ったとしても、すでに学校よりも難しいことをしていることになるわけで、ではどこがいっしょかといえば小学校1年、すなわち年長さんの卒園のころになるわけです。
1週間に一回塾に行き、宿題をもらい、復習をする、そういう習慣を早くからつけました。だからすごく勉強したわけではないが、当然学校の勉強はすぐできるようになります。それが子どもたちに自信を与えました。だからいろいろなことに対しても積極的に臨むようになりました。運動も、音楽も。
小さいとき、家ですこしずつでも勉強の面倒を見て、自信をつけていけば、それなりにできるようになり、積極的にもなります。もちろん、遊ぶことも大事です。ただ遊んでばかりではいけない、勉強もするんだということが当たり前でなければいけないのです。
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