よく「算数の問題はじっくり考えさせてください」というお話をします。
子どもたちが自分で問題に取り組んでいくとき、いろいろなことを試しているうちに時間がかかってしまうことがあります。図を描いてみた、グラフにしてみた、そういう試行錯誤をやってはいるものの、実際に答えが出てこない。
「そろそろ答えを見たら?」「いや、まだ」
こういうときは、多少時間に余裕を持って子どものすることを見ていてほしいと思います。
「だって次にやらなければいけない問題が」
その通りですが、これまでかけた時間を有効にする意味では、ある程度結論が出るまでは時間をかけるべきなのです。その試行錯誤のなかで子どもたちはいろいろな経験を積んでいきます。
これではだめなんだ、そうか。だめなんだという発見も大事なことなのです。そして、できる場合もあるでしょう。最終的に「だめだ、わからん」という場合もあるでしょう。そこまで来て答えや解説を見ると、それこそ水が砂にしみいるように理解が広がります。それを中途半端にさえぎって、答えを見ても十分に経験があがっていないので、理解が進まないのです。
逆に鉛筆を動かすこともなく、ただじっと問題を見ている子がいます。その子がよほどの天才でもない限り、「本人に解く意欲がない」と見ていいでしょう。このような子に1問30分与えても、仕方がないのです。
本人のやる気がなぜ起きないのか、問題のレベルがあっていないのかもしれないし、実は遊びに行きたいと思っているのかもしれません。その辺をしっかり聞いてみたらいいでしょう。子どもが自分でやる気になれば、その分自学自習の作用が効いてきます。学びたいという気持ちが強ければ、理解も進みます。逆にそうでなければ、「やりなさいよ!」と強制されたところで大して身になるわけもないのです。
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