上の図はバスです。さてこのバスはどっちに向かって走るのでしょうか?
「この図だけで答えがでるんですか?」
「そうだ」
「ホントですか?」
「これはね、K小学校の入試問題なんだ」
「はい??」
幼稚園生が解ける、といわれて考えました。しかし、よい考えが浮かびません。
「わかりません。こんな問題ホントに出るんですか。」
「うん、出る。答えはね。Bなんだよ。」
「え、どうしてですか。」
「こちら側にドアがない。ということは、向こう側にドアがある。だからBなんだ。」
おわかりになりますか?
つまり左側通行の日本においては、当然左側にドアがこなければならないのです。ところがバスの絵にはドアがありません。ドアがないバスはありえないので、向こう側にドアがついていることになります。したがって、向こう側が歩道に面している、したがってバスはBの方向に動くということがわかるのです。
この問題を今でも覚えているのは、そのとき大変ショックを受けたからです。その当時、小学校受験の指導を担当するわけではなかったのですが、これは大変なことになったと思ったものです。なぜなら、自分でも発見できなかったことを、どうやって子どもたちに教えればいいのか?という大きな壁が突然、自分の前に現れたからでした。
「この手の問題は、大人は気がつかない、でも子どもは気がつく、なぜだかわかるかい?」
「いや、わかりません。」
「ははは、子どもには常識がないからだよ。子どもは見たものを覚えている。今乗っているバスと何が違うのか、それだけしか知らない。バスは乗り物だ。ドアがないと乗れない。そこを考えるから、答えがわかるんだ。もちろん、全員がわかるわけではないけどね。」
大人はある意味、いろいろなことを知っている分、本質が見えなくなることがあるものです。その意味ではむしろ子どもの方が大人より優れている、だから先輩は私にこういうことを教えたかったのです。
「子どもに教え込もうなどとは思うな。子どもがすでに持っているものを大事にしろ」
塾というのは、子どもに教え込む場所だとみなさん、思われるでしょう。もちろん、そういう塾もあります。ただ、それでは本当の力はつかない部分がたくさんあるのです。子どもに見えて、大人に見えないことはたくさん、あります。
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