論理を引き出す

2012年の開成の4番です。


2以上150以下の整数nに対して、<n>はnの約数の中で2番目に大きい整数を表すことにします。たとえば、6の約数は1、2、3、6なので<6>=3であり、7の約数は1、7なので<7>=1です。

(1)2以上150以下のすべての偶数nに対する<n>の和、すなわち、<2>+<4>+<6>+…+<150>を求めなさい。

(2)2以上150以下のすべての3の倍数nに対する<n>の和、すなわち、<3>+<6>+<9>+…+<150>を求めなさい。

(3)A/5=<A>、B/7=<B>、C/11=<C>となるような2以上150以下の整数A、B、Cはそれぞれ何個ありますか。
            
(4)2以上150以下のすべての整数nに対する<n>の和、すなわち、<2>+<3>+<4>+…+<150>を求めなさい。
  なお、2以上150以下の整数nのうち、<n>=1であるものは35個です。


(1)偶数を並べてみましょう。
<2>=1 <4>=2 <6>=3 <8>=4 <10>=5 ・・・ <148>=74 <150>=75
偶数ですから必ず2で割れて、2で割った商が<n>になるので
1+2+3+・・・+75=(1+75)×75÷2=2850 となります。       (答え)2850

(2)3の倍数はどうなるでしょうか?
<3>=1 <6>=3 <9>=3 <12>=6 <15>=5 <18>=9 <21>=7 <24>=12・・・・

奇数の場合は1、3、5、7・・・と奇数の列になっていきますが、偶数の場合は3、6、9、12・・と3の倍数の列になっていくことがわかります。

奇数の場合は2で割れないので、3の倍数であれば最初に3で割れるから3で割った商が並ぶことになるわけですが、偶数の場合は2で先に割れてしまうので、2で割った商が並ぶことになるのです。

したがって場合分けをしましょう。

奇数の場合は3から147まで。(147-3)÷6+1=25個 あります。<147>=49 ですから (1+49)×25÷2=625
偶数の場合は6から150まで。(150-6)÷6+1=25個 あります。<150>=75 ですから (3+75)×25÷2=975

合計は625+975=1600                           (答え)1600

(3)Aは5の倍数です。こうなるためには2でも3でも割れず5で初めて割れなければいけません。
例えば<5>=1 10、15、20はだめで <25>=5 30はだめで次は<35>=7 この次は<55>です。
つまり、5以上の素数に5をかけた積なので、150÷5=30から5以上30以下の素数を考えると
5、7、11、13、17、19、23、29になりますから、これに1を加えて 9個になります。

ただし、125は5×5×5ですから<125>=25でこれは該当します。
したがって9+1=10                   
(答え)10個

B/7=<B>は7の倍数ですが、
<7>=1 14、21、28 35 42はだめで、<49>=7
ここから先は同じですが 150÷7=21…3なので、
1、7、11、13、17、19 で答えは6個になります。   

(答え)6個

C/11=<C>で1と11以上の素数に11をかければよいので
1、11、13しかありません。              

(答え)3個

(4)
(1)から偶数の和は2850 75個分

(2)から奇数で3の倍数の和は625 25個分 これで100個

奇数で3の倍数でないものを考えていくと
5の倍数が、(3)のAで10個 合計110個
1+5+7+11+13+17+19+23+25+29=150

7の倍数がBで6個 116個
1+7+11+13+17+19=68

11の倍数がCで3個 合計119個
1+11+13=25

13から先は素数を考えればいいのですが、<13>=1 です。
条件から=1は35個ですが、すでに数えているものが
<2><3><5><7><11>と5つありますので、30個で合計149個です。

2850+625+150+68+25+30=3748

(答え)3748

こうやって解いていくと、最後のところで<n>=1は35個をこう使うのかあ、ということになってくるでしょう。
(1)から始まってひとつの論理が引き出されていくようにできているところが、なかなか良いな、と思います。

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