■中学入試の場合は、国語、算数、理科、社会の4科目を勉強します。みなさんはどの科目が得意ですか?きっと、得意な科目は一生懸命勉強していて、あまり得意でない科目は「やらなければいけない」と思ってはいても、実際にはあまり時間をさけていないのではないでしょうか。
■昔教えていた子どもに社会の得意な子どもがいました。この子は社会の中でも特に歴史が大好き。ですから、勉強しなさいといわれると、すぐ「社会」の勉強をしてしまいます。本当は、算数や理科の勉強もしなければいけないのですが、残念ながらあまり集中して勉強できていませんでした。
■その生徒と面接をしました。「社会は得意だね?」「はい」「どうして得意なのかな」「え、好きで勉強するからだと思いますけど。」「そうだよね。では、算数は?」「算数はあまり得意ではないので。」「だから勉強しない」「まあ、そうです。」「だったら、算数を好きになればいいんだよね」「はい。」「社会はねえ、君の力はもう僕を超えていると思うんだよね。つまりそれだけ勉強すれば、できるということははっきりしたわけだ。」「はあ。」「だから、算数もやればできるんじゃないかな」
■ということで、その生徒は、社会の勉強はちょっと置いて算数の勉強を始めました。最初はもちろんできません。ただ頼りは「社会はできる、だから算数もできる」です。授業中わからないことはどんどん聞きにくるようになりました。復習にも時間を割きました。そうするとだんだんわかってきます。わかってくるとおもしろくなる、これは勉強した人ならだれでも体験できることです。
■その結果、私と面接してから3ヵ月後に彼の算数の偏差値はなんと10ポイントも上昇しました。そのときはさすがの私もびっくりして、その子を呼び出しました。「すごいねえ。」「はあ。まあ」「やっぱりやればできるってことだね。」「はい。」「後はバランスよくうまく時間を分けて集中して勉強するコツさえつかめればいいわけだ。」「ああ、はい。がんばります。」
■社会が得意だったこの生徒は、算数、理科と進み、一番嫌いな国語も最後はがんばるようになりました。結果として最初のころは当然無理といわれていた第一志望に見事合格していきました。
■実はできないと思い込んでいるのは自分だけということがよくあるものです。得意な科目、あるいは得意なことは誰にでもあります。それができるということは、他のことだって本当はできるのです。国語が不得意、でもそれはやってないだけ。本当はやればできるのではないでしょうか。
■自分の得意科目はなんだろうとぜひ考えてみてください。そしてその科目がどうして得意なのかも考えてみてください。それが他の科目にもあてはめられることは、みなさんにもすぐわかるでしょう。できると思った人ができる、これは実は昔から言われていることなのですが、なかなか実行できないことでもあります。さあ、みなさんはどうしますか?
(平成17年3月23日)