■最近、ちょっと気になるのは問題の細分化が進み、クラスによっては応用問題を省く塾もあるようです。基本問題もできないのに、応用問題をやっていてもできるはずはない、その通りなのですが、しかし応用問題を解かなければ応用力が身につかないのも事実です。
■応用問題の構造は大きく分けて2種類あります。ひとつは複数の基本事項が組み合わさったもの、もうひとつは独自の考え方が必要なものです。前者は結局は基本事項の複合体ですから、そのひとつひとつは基本問題と大差ないかもしれません。しかし、それを見分ける力は基本問題ばかりを解いていたのでは身につかないでしょう。
■一方、後者は基本問題にはない独自の考え方があるものです。これも知らないとなかなか解けないでしょう。そしてここがポイントですが、これらの考え方は基本問題には出てこないので、応用問題を解かない限り決してできるようにはならないのです。
■最近の塾では、クラスの細分化が進んでいて、あるレベルの子供たちには難しい問題をさせても意味がないので、やらせないという考え方が主流です。わからないでもないですが、しかしそれではこのクラスの子供たちが上へ上っていけるはずはありません。また基本問題はできるのに応用問題ができない子の勉強法としては、これは最悪です。しかし、偏差値の輪切りでクラスが決められてしまうとこういう不合理なことが起こる可能性があります。
■多少大変でも毎週数題は難しい問題にも挑戦する、そのことが子どもたちの可能性を広げます。自分で考える力がついている子どもたちには、応用問題を与えていくことが必要だと思います。そしてその中から、情報を分析する力や図を書く力がついていくのです。最近の指導法はややもするとパターン化して素人でもやれるようにする分、子どもたちの可能性が引き出されていないのではないかと思うのですが。
(田中 貴)
(2005年10月31日)