第15回 新刊メイキング顛末記

■2年半ぶりに新刊を出すことになりました。じっと待っていただいていた講談社のみなさま、本当にありがとうございます。

■再校が終わった気楽さで、この度の新刊メーキング顛末を書いておこうかと思います。最初の企画から考えると、いったい何回企画を練り直したのか、わかりません。前作は私が前の塾をやめたことがきっかけとなり、これまでのことを書いておこうかというのが動機でした。ですから、原稿も一気に書き上げたという感が強かったのです。

■しかし、その後、前の塾の仲間が集まりはじめ、塾ができ、会社ができて、私も再び教育現場にもどってきました。そして今年になって、14教室が参加するに及んで、これはもう一度、塾というものを考え直さなければならないと思ったのです。私は塾というのは、親へのサービス業であるべきではないと思っています。教育というのは、まず家庭が基本。そして家庭がこういう子に育てたいという考えがあって、その子に対する教育の具体的な内容が決まってくると思うのです。

■学校もそのひとつで、うちの子にはこういう環境で勉強してほしいという気持ちが受験につながるはずです。ただ、いったん受験となると、合格してほしいから、家庭だけで受験するのは難しくなり、塾がでてくるのです。ただ、塾というのはその思いをかなえるのが仕事で、お父さんやお母さんの替わりができるわけではありません。中学受験の場合は、特にお父さん、お母さんの役割は大きいのです。

■お父さんやお母さんが受験特有のマイナスは取り除いて、効率的な勉強をしていけば、その過程はとても実りが大きくなります。その応援を塾がすればよいのです。ところがお父さん、お母さんが受験に向かっていろいろ指示をしようとしても、それが子どもに届かないことが多いのです。塾はそういう部分で役に立たなければなりません。

■ある朝、そうだ手帳だ!と思いつきました。そしてそこから、一気にことが始まりました。講談社に原稿を持ち込めたのは、もう8月になっていました。(すいません。この間、ドットネットはほぼ、開店休業でした。)発刊が決まり、スケジュールが出て、編集の方からも良い提案をたくさんいただきました。特に今回は手帳のサンプルをたくさん載せましょうということで、図版も増えました。お母さんのリフィール、子どものリフィール、満載です。

■10月に初校、再校と進みました。手書きのサンプルもたくさん作っていただき、内容を吟味して最終案がまとまりました。何とか今年の受験生のみなさんにも多少なりとも役立てるよう、講談社は11月に間に合わせてくださいました。(相変わらず、わがまま言ってすいません。)ということで、私は先週、再校を出して終了です。この先はすべて出版社で進み、あとは手元に本が届くのを待つばかりです。今回の装丁も前作と同じ方にお願いできて、それもまた楽しみのひとつです。

■中学受験は、親と子どもが同じ目標を持って進む楽しいプロセスです。そしてその過程で、子どもたちが自分で学ぶ力を身につけていけば、この先どういう方向に進んでも力強いと思います。そして、その過程をぜひ多くのお父さん、お母さんに楽しんでいただきたいと思います。そういう受験であれば、きっと子どもの人生にとって実りが多くなると私は思っています。

(平成16年10月28日)

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