速さと比(1)

これまで具体的な速さを用いて旅人算や速さの問題を解いてきましたが、比を使って速さの問題を解くこともできます。実際に入試問題では、比と速さの問題は各校とも必ずといっていいほど出題するテーマですから、まず基本をしっかりマスターしていきましょう。

速さの3公式はすでに覚えていると思います。これは別に3つ覚えずとも

速さ×時間=距離

を1つ覚えておけば、時間を出すときは距離÷速さでいいし、速さを出すときは距離÷時間でいいわけですが、ここで速さと距離、時間と距離は比例することがわかります。

つまり速さを2倍にすれば、動く時間が同じでも距離は2倍になる。

また速さが同じでも動く時間が2倍になれば、距離は2倍になるのです。

一方、同じ距離であるならば、速さと時間は反比例します。

つまり一定の距離を移動するのに、速さが2倍になれば、時間は半分になる。逆に、速さが半分になれば、時間は2倍かかるということになるのです。

これを利用して、速さの問題を比で解く解法を練習していきましょう。


(例題1)
太郎君がAからBまでいく時間と、次郎君がAからBまで行く時間の比は2:3です。太郎君が次郎君よりも分速で20m速い時、次郎君の分速は何mですか。


(解説と解答)
同じ距離を移動するのにかかる時間の比が2:3であるならば、速さの比は3:2になります。
太郎君の速さは次郎君よりも分速20m速いので1が20mですから、次郎君の分速は20×2=40mになります。
(答え)40m


(例題2)
太郎君と次郎君が100m競走をしました。太郎君がゴールしたとき、次郎君はゴールの手前20mのところにいました。
二人が同時にゴールするために太郎君のスタートラインを後ろに下げることにします。(次郎君は100m走ります。)
太郎君のスタートラインは何m下げればよいですか。


(解説)
太郎君が100m走るとき、次郎君は100-20=80m走るので速さの比が100:80=5:4です。
今度は次郎君が100m走るので、太郎君は100÷4×5=125m走ることになるので、スタートラインは
125-100=25m下げることになります。
(答え)25m


(例題3)
太郎君は朝8時に家を出て、分速80mで行くと5分遅刻します。そこで朝7時55分に家を出て分速100mで行ったところ、始業時刻の5分前に着きました。次の問いに答えなさい。
(1)始業時刻は何時何分ですか。
(2)家から学校まで何mですか。


(解説と解答)
(1)分速100mで行くとき、8時に出発すれば、太郎君は始業時刻ちょうどに着くことになります。
速さの比は80:100=4:5ですから、同じ距離を移動するのにかかる時間の比は5:4になります。その差の1が5分ですから、100mで行くと5×4=20分かかるので、8時20分が始業時刻になります。
(答え)8時20分
(2)距離は100×20=2000mです。
(答え)2000m


(例題4)
太郎君は家から学校に向かいましたが、出発して6分後に忘れ物をしたことに気が付き、最初の速さの1.5倍で家にもどり、1分間で忘れ物を探し、最初の2倍の速さで学校に向かったところ、予定した時刻に学校に着きました。これについて次の問いに答えなさい。
(1)太郎君が再び家を出発したのは最初に出発してから何分後ですか。
(2)太郎君は最初の速さで家から学校まで何分かかりますか。


(1)最初の速さの1.5倍にするということは、速さの比は2:3ですから、かかる時間の比は3:2です。忘れ物に気が付くまで6分ですから、引き返すのには6÷3×2=4分かかります。忘れ物を1分で探したので、再び家を出たのは6+4+1=11分後です。
(答え)11分後

(2)再び家を出発してから最初の2倍の速さにしたので、かかる時間の比は2:1になります。その差の1が11分ですから、11×2=22分で、太郎君は最初の速さでは家から学校まで22分かかることになります。
(答え)22分


(例題5)
AからBまでは上り道、BからCまでは下り道になっています。

太郎君は上りの速さは分速40m、下りの速さは分速60mです。
AからBを通ってCまで行くのに40分かかり、CからBを通ってAまで行くのに36分かかりました。
ABの距離は何mですか。


(解説と解答)
ABの方が長いので、行きの方が時間が長くなります。今BCと同じ距離をBからAの方にとり、その地点をDとすると、図のようになります。

このとき、D→B→CとC→B→Dにかかる時間は同じです。したがって40-36=4分はADの上りと下りの差によって生まれます。
40:60=2:3よりかかる時間の比は3:2。その差の1が4分ですからAからDまでは上りで12分かかります。
A→B→Cは40分でA→Dは12分ですから、残りの時間は40-12=28分です。
D→BとB→Cは同じ距離ですから、かかる時間の比は3:2になります。28÷(3+2)×3=16.8分がDからBまで上る時間です。
したがってAからDまでは40×(12+16.8)=1152m
(答え)1152m

ポイントとして、同じ距離を動く場合は、速さの比がa:bであるならばかかる時間の比はb:aになる、ということです。

速さの問題を比で解く場合、同じ距離を動くところ、同じ時間を動くところに着目すると、そこから問題が解けることが多いので、そこに注目してください。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

算数5年後期第6回 算数オンライン塾「速さと比(1)」

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