第3回   指導要領改正と入学試験

■今年の4月から完全週休2日制にともない、新指導要領がスタートします。土曜日が休みになると週に4時間授業時間が減ることになりますので、これまでのカリキュラムは当然、教えきれないということで、指導要領の改訂になったわけです。
■まず残念なのは、指導要領の改訂が単純に負担を減らすということに目を向けすぎていることです。時間も少なくなり、子どもたちも昔にくらべて、あまりできなくなった。だからもう少し楽にしてしまおう、そういう流れはずっと続いていて、それが「ゆとり教育」という名で呼ばれているのかもしれません。
■週休2日制は、時代の流れからいっても、ライフスタイルがそうなっていますから、当然の帰結だろうと思います。しかし、時間は減っても、勉強の仕方をより効率的にやって、少なくともカリキュラムを減らすということがないようにすることはできただろうと思います。時間が少なくなっても、例えば能力別クラスを実施すれば効率は上がります。最近、少人数制で英数のクラスを能力別に組替える公立中学もでてきましたが、そういう工夫があってしかるべきだったと私は思います。昔は三角関数が義務教育内だったんだというと、驚く子どもたちが多<なりました。二次関数も頂点が原点から離れなくなったのが、中学数学の常識です。でも、本当にそういう方向は正しかったのでしょうか。 ■さて来年の中学入試で、問題は相当やさしくなるだろうと考えている塾の先生は、おそらくだれもいないでしょう。指導要領にとらわれることなく(あまり逸脱しても仕方ありませんが)入試問題は作られていきます。ますます、受験の世界と公立の勉強がかけ離れていくのでしょうか。 ■それを補うために、土曜日も塾通いが多くなるのは、当然です。方法を考え、教員を増やせば、「学校の勉強だけで十分に受験もできて、行きたい学校にいける」ことは、実現できると思うのですが。 (平成14年3月1日)

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