第78回 子どもといっしょに勉強するコツ

■ 私は以前から、ダイニングで子どもを勉強させるようにお話してきました。しかし、最近はリビングに机を持ってきて勉強しているご家庭も少なくないようです。

■ 親の近くで勉強させれば、監視できる、と考えがちですが、一番のメリットは様子をよくごらんになれることなのです。個人的に教えるとき、まずは、子どもたちに問題を解いてもらっていました。ただ、となりで見ているだけです。しかし、いろいろなことがわかります。

■ 式を書く子なのか? 計算はどうやるのか。たての式を書く子なのか? 問題文のチェックはどうするか?一度見たら、それっきりなのか、何回か確かめるのか? 問題の図にすぐ線を引き始める子なのか。別に図を描いてやる子なのか?

■ 子どもがどう問題を解くかを見ているだけで、例えば「問題を読み飛ばす子」なのか、「計算間違いをしやすい子」なのか、「ていねいな子」なのかがわかります。わかったら、それを直さないといけない。しかし、ただ注意して直るのなら、今までにとっくに直っているでしょう。直らないから、今も同じようにミスをくりかえしたりするわけです。

■ だから、問題が解き終わったところで「君は急ぐ子なのかい?」などと聞きます。
「急ぐ子?ですか。ああ、まあ、急いでますけど。」
「答えが出たところで、問題文を見なかったよね。」
「え? はい。」
「絶対覚えられているの?」
「いいえ、良く間違えます。」
「なら、そこで問題文を確認すると、ミスが減るんじゃない?」
「ああ、でもつい。」
「そうなんだよね。だけど、それで間違えて落ちたくはないわね。」
「え、まあ、そうです。」
「じゃ、次の問題はそうしてみたら?」
「あ、やってみます。」

■ みたいな話をしながら、教えていきます。大事なことはわからない問題を教えることよりも、どういう問題の解き方をしているから、わからないのか、間違えるのかを見つけることなのです。これは本人はなかなか気が付かない。まして、自分の部屋にこもってしまえば、もっとわからないわけですから、子どもの様子を見ることが一番大事なのです。

■ わかったとしても、注意するだけではだめで、方法を変えてもらう必要があります。だから、いろいろ話をする。その話に怒気をこめてはいけません。そうすると、子どもたちの耳はもう閉じてしまうからです。子どもたちといっしょに勉強するコツは、まず良く見ること。そしておだやかに話すことです。

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